ムーの遺産
[1/4]
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
コウスケとキャスターと合流したハルトとほむらは、引き続き回廊を歩き続けた。
相変わらずハルトは懐中電灯となり、唯一古代文字が読めるキャスターの目となっている。
『ライト プリーズ』
「そろそろ体でも感じるほどの疲れが溜まってきたんだけど」
ハルトは言った。
だが、顧みることなくキャスターはハルトにライトを要求する。
「……コウスケはもういいの?」
「大体記録には取ったけど、さすがにそろそろ帰りてえ。そりゃ見てて飽きねえけどよ。そろそろまとめてえ」
コウスケは呟きながら廊下に寝転がる。
「おいおい。さっきまでの元気はどこに行ったんだ?」
「元気にもそれを支える精神ってもんが不可欠なんだよ。んで、今のオレにはその気力がねえ」
「
「碑文とかは色々あるけど、結局オレは読めねえしな。大体の写真も撮ったし、もうやることもねえだろ」
「お前それ後で後悔するやつじゃない?」
だが、コウスケは起き上がる。
「言ってもなあ。流石に閉じ込められてここまで時間たつと、気持ちも滅入るってもんよ」
「まあ、納得はする」
ハルトはスマホの時間を確認した。
朝にこの遺跡に入って、今やもう四時を回っている。どこかの洋画にありそうな罠に陥った後も、もう何時間たっているのだろうか。
「ねえ、そもそもほむらちゃんたちはこの遺跡に何しに来てたの?」
ハルトは尋ねた。
退屈そうなほむらは、壁に寄りかかったままハルトを睨む。
無言の圧から、あまり口を割りそうになかった。
「……あはは。少しくらいは心開いてくれてもいいんじゃないかな……」
「貴方は私の敵よ。無理ね」
「ひどい……あれ、もしかして光?」
ハルトが指さしたのは、回廊の先にある淡い赤。黒と茶しかなかった空間に、ぽっかりと開いた光。
それを確認したコウスケもまた、目を輝かせる。
「おお! 光だ! 赤ってことは、もう夕方か……! おい、出られるぞ!」
コウスケが先にダッシュで光へ走る。ハルト、ほむらもそれに続き、キャスターがゆっくり歩いて行った。
そして。
「外だあああああ……ああああ?」
コウスケの疑問形の声に続いて、ハルトが入る。
「……まだ外じゃないのか……」
「がっくし」
コウスケが崩れた。
「何だよ……もうレポートの材料はそろったってのに……」
「まあ、期待外れだけど……」
ハルトは地下なのに光で満ちる部屋を見渡す。通路などはもうなく、ここが最奥なのだろうと思った。
「あれ……? なんだ?」
ハルトは、天井近くの壁画に目を向けた。
人々が、空に浮かぶひし形に祈りを捧げている。ひし形のバックには太陽を思わせる赤い円形が描かれていた。
[8]前話 [1]次 最後 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ