父よ、母よ、妹よ 前編
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長がこんな調子じゃあ世界解放なんて到底無理だな」
どこからともなく声がし、柱の影からまた新たな男が現れた。志郎や丈二とは対象的に、髪の毛はボサボサ、身体はでっぷりと肉づき、無精髭を生やした男からは小汚い印象を受ける。
「黒田さん!志郎さんのことを悪く言わないで!!彼だって苦しんでるのよ!」
突然現れては志郎ことを悪く言った男…黒田に純子は声を荒げる。しかし、黒田は意に介さないといった態度だった。
「はいはい。分かりましたよ。なんたって支部長様は正義の味方、仮面ライダーV3だからな」
黒田は半ば拗ねたように手を挙げて言った。そして拗ねたように態度を見せた。
「……たく、ショッカーの怪人と同じバケモンの癖に何が正義の味方だよ」
ピタッ……。
黒田が言葉が聞こえて純子の動きが止まった。黒田が何事かと思っていると純子は彼を射すくめるように睨みつけた。
そしてズンズンと彼に近寄ると―
パシィィィィンンン!!!!
黒田の頬を思いっきり引っ叩いた。
「いッてぇぇ!!何すんだ!?」
「誰がバケモノですって!!何てこと言うの!!彼があの身体になった理由を知ってる!?人間じゃなくなった悲しみがどんなに辛いのか少しでも考えたことはある!?あなたなんて大ッッ嫌い!!」
純子は言い放った。涙を流し、目は充血していた。それから純子は脇目も振らず志郎の後を追った。丈二とシゲルは彼女の後を追い、黒田だけがその場に取り残された。彼は悔しさから地団駄を踏んだ。
「くそっ、本当のことを言っただけじゃないか……。何でアイツはあそこまでV3のことを庇うんだ?クソッ、クソッ、面白くねぇ」
それから黒田は何かを決心し、志郎達とは反対側の通路から外へと出ていった。
――――――――――――――――――――――――――――――――
辺りはすっかり暗くなり、空気が澄んで肌寒い風が頬を過ぎ去る。
先程の混乱が冷めきってないらしく、パトカーのサイレンの音が鳴り止まない。
そんな喧騒の中、郊外の野原で志郎は一人、ただポツンと立っていた。そして目を閉じて空を見上げる。
志郎は今日のように辛い時や耐えきれないことがあった時にはこうして夜空を見上げては家族のこと、同じ空の下で戦っている仲間のことを想うようにしていた。
しばらく夜空を眺めているとふと、志郎は少年の言葉を思い出した。
『この悪魔!!!母さんに近寄るな!』
少年の顔を忘れることができなかった。
あの目を見て、自分がショッカーが戦うことになった"あの日の惨劇"を思い出してしまった。
両親と妹をショッカーに殺された自分がショッカーを倒す為と
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