第百九十四話 江戸の街と城その九
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「やっていくといいよ」
「そうだな、ではそうした対策をな」
「政としてだね」
「やっていく」
「そして今からだね」
「ここから見るだけでなくな」
天守閣の最上階、上からだというのだ。
「下に降りてな」
「街の中に入ってね」
「観ていく」
「そうするね」
「この目でな、遠くから見るだけでなくだ」
それで終わらずというのだ。
「さらにな」
「下に降りて」
「そしてだ」
そのうえでというのだ。
「観る」
「それじゃあね」
桜子も頷いた、そうして英雄は仲間達と共に今度はお忍びで服装を目立たないものにしてそうしてだった。
今度は旅の者達として江戸の街に入って観ていった、そしてだった。
その街をその目で中から観て英雄は言った。
「実際にな」
「いい街じゃのう」
当季はいつも通り着物の前から右手を出しその右手を顎に当てて右目を瞑ってそのうえで言葉を出した。
「こうして観たら」
「繁栄していてな」
「手工業も商いも発達していてじゃ」
「実にいい街だ」
「全くぜよ」
「以前と同じくな」
「いい街だ、だが近くで見てもな」
英雄はここで鋭い声になって述べた。
「やはりな」
「木造、屋根も全部ぜよ」
「そうした家が多い」
「そして道も狭いぜよ」
「しかも川や堀の水がだ」
「有効に使えそうか」
「そうはなっていない」
こう言うのだった。
「それもだ」
「問題ぜよ」
「そして避難所もだ」
これもというのだ。
「少ない」
「火消しの組ものう」
「少ない様だ、これではな」
「まっこと火事に弱いぜよ」
「そして水害にもな」
「水害については堤を造って」
その様にしてというのだ。
「やってのう、そして水を街の至るところにやって」
「いざとなればな」
即ち火事の時にというのだ。
「使える様にする」
「そうするんじゃな」
「そして水の術を使えるだけのな」
「術の使い手をじゃな」
「火消し隊に雇い入れ」
そしてというのだ。
「そのうえでな」
「消火をするんじゃな」
「そうする」
政としてそれを行うというのだ。
「やはり火には水だ」
「それが一番ぜよ」
「そして土や石だ」
「金もぜよ」
「そうしたものでだ」
対するべきだというのだ。
「木や風は避けてな」
「そうすることぜよ」
「その考えを念頭に政を行う、しかし」
ここで英雄はこうも言った。
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