最終章:無限の可能性
第284話「集いし“意志”」
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にも出来ないもの」
優輝と葵の位置が漠然とは言えわかるのはかなりのアドバンテージだ。
だが、そこに向かうだけではさっきまでの話と同じだ。
だから、発想を変える。
「……二人の下へ向かうのは、私達自身じゃないわ。……攻撃よ」
「っ……なるほど、ね」
つまり、“援護射撃”だ。
その場から動かずに戦闘の手助けをするには確かに打って付けだ。
「当然ながら、距離等を考えれば無茶だね」
「でも、この神界ならその常識を覆せる」
「……はは、よくわかってるじゃないか」
昔であれば、椿は絶対このような発想をしなかっただろう。
だからこそ、紫陽は椿がその提案をした事に笑みを零す。
「あんたも、主の影響を受けているね」
「優輝の……?……確かに、そうかもね」
二人の会話を背景に、再び神は襲い掛かってきた。
それでも、他の皆に任せて紫陽は椿に策を聞く。
「とにかく、私達に出来るのは支援攻撃ね。それも、生半可な“意志”じゃ届かない。司が“祈り”を集めた時のように、より多くの“意志”を集める必要があるわ」
「……そいつは、また……」
椿の話を聞いて、紫陽はある一点が気にかかった。
それは椿も理解しており、言わなくてもいいとばかりに首を振る。
「わかってる。これが机上の空論という事ぐらい。司があれほどの一撃を放てたのは、集めたのが“祈り”且つ、司が天巫女だったから。だけど、“意志”の場合は別」
「その通りだ。この場合の“意志”は目に見えない力だけじゃない。言霊も、想いも、それどころか霊力や魔力、全ての力が集束する事になる」
要は、その攻撃を集めるための“器”がないのだ。
“意志”という領域外の力があるため、当然普通の媒体では耐えられない。
かと言って、司のように誰かを“器”にするとしても……
「これは、あたしやとこよ……いや、神ですら不可能に近い。出来る可能性があるとすれば、それは各神話の頂点とも言える存在達ぐらいだろう」
「それでもイチかバチかの賭け、という事ね」
飽くまで“可能性がある”だけだ。その可能性もごく僅かしかない。
優輝がいない今、そのごく僅かな可能性を意図的に掴む事は出来ない。
「でも、それでも私がやるわ」
「なっ……!?」
「優輝と葵の居場所を感知できるのは私だけ。なら、そこへ正確に攻撃を向けるには、私が射手になるしかないわ」
「それは、そうだけど……!」
あまりにも無茶が過ぎる。
別に、無理をしてまで援護射撃をする必要はないのだ。
しかし、椿の決意した瞳に、紫陽はそれを言う事が出来なかった。
「何と言われようと、私はやるわよ」
「……わかった。なぜそ
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