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戦国異伝供書
第百二十七話 橙から灰色へその十二

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「だからな」
「その様なことは許せませぬな」
「それはどの家の方も同じでしょうが」
「織田殿もですな」
「あの方もですな」
「あの方は民を大事にされる方」
 それならというのだ。
「間違いなくな」
「そうお考えですな」
「だからですな」
「それ故に」
「織田殿とは決して戦わぬ」
「そうされますな」
「門徒達にも強く言ってな、もう一向一揆もな」
 これもというのだ。
「起こさずともな」
「よいですな」
「そうですな」
「最早」
「我等は」
「うむ、そう思う」
 これはというのだ。
「だからな」
「それで、ですな」
「我等もですな」
「そうしたことはせず」
「一向宗本来の行いに戻りますな」
「その様にする」
 こう言ってだった。
 顕如は一向一揆を起こさぬ様に言い織田家の治の下で生きる様にした。その中で彼等の政をしていったが。
 その中でだ、彼にいよいよだった。
「来月ですな」
「そうです」 
 祖母が彼に微笑んで話した。
「そなたもです」
「いよいよ妻を迎え」
「共に暮らすことになります」
「そうですか、拙僧も」
「よいですね、夫婦になったなら」
 祖母は顕如に笑顔で話した。
「共に仲睦まじく」
「暮らすことですね」
「よき家を持つこともです」
 このこともというのだ。
「門徒の務めであり」
「門徒達を導く拙僧は」
「尚更です」
 さらにというのだ。
「その様になることをです」
「頭に置き」
「そしてです」
「よき夫であり父になる様に」
「務めるのです」
「それでは」
 顕如は祖母の言葉に頷いた。
「これよりは夫として」
「父になる様にです」
「考えそして」
「務めるのです」
「その様に」 
 顕如は祖母の言葉に頷いた、そしてだった。
 彼は婚礼も迎えることになった、まだ若いが彼は為すべきことが多かった。だがそのことに臆することなく平然と前を向いて進んでいた。


第百二十七話   完


                2020・12・23
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