第二話 ベラーナ村
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で、強大な力を持ったモンスターが生息している。普段は塔専用の気球で観測し、何か異常が観測されれば、ギルドが指定した熟練のハンターによる調査が行われる。
と言っても、調査はそう頻繁に行われるものでもない。塔に生息するモンスターは、『基本的に』、こちらから接触しない限り塔を出ることはない。最後に調査が行われたのも、もう十年も前のこと。ドルフがまだ、新米ハンターであった頃の話だ。
「妙なエネルギー? モンスターか?」
「それを調べるための依頼だろ。ただ、なんらかの異常事態だって話だ」
異常事態。ギルドがその言葉を使うことは稀だ。前回、塔の調査をした時も同じだった。塔から妙なエネルギーが観測され、熟練のハンター四人が偵察に向かった。
その時、塔の頂上で発見されたのは……ある一頭のモンスターだった。
「まさか……『希少種』か?」
「可能性はあるな。十年前に姿を消したっきり、見たっつう話も聞かなかったが」
希少種。それは、特定のモンスターが特別な要因により変異した亜種個体。通常の亜種個体に比べ、報告数が極めて少ない上、その高い戦闘能力から、伝説上に登場する『古龍』と呼ばれるモンスター達に近しい存在だと言われている。
現在、ギルドに報告されている希少種は、二種。
一種目は、こことは別の塔で報告されたモンスター。銀色の鱗に身を包み、通常種よりも更に凶暴性の増した、『銀火竜』と呼ばれるモンスター。その見た目と性質から、『火竜』であるリオレウスの希少種だとされている。
そしてもう一種が、十年前にベラーナ村近隣の塔でも報告された、金色の鱗に身を包んだモンスター。火竜であるリオレウスの番、『雌火竜』リオレイアに近い姿を持ち、銀火竜と相対するように、『金火竜』と名付けられた。
十年前に現れた金火竜は、偵察に向かった四人のハンターによって深傷を与えられ、姿を消した。それっきり、現在に至るまで再び現れたという報告はされていない。
しかし、もし仮に、今回の異常が希少種の出現であるならば……また、犠牲が出るだろう。
「……お前に話がいく可能性もあるな、ドルフ」
「そうだな」
「そうだなってお前……それが本当に希少種なら、死ぬかもしれねえぞ?」
十年前。リオレイア希少種と交戦した四人のハンターのうち、二人は帰らぬ人となった。ギルドが選んだ、トップクラスの実力を持った四人だったが、そんなハンター達が命を落とすほどの相手だ。
塔の調査が行われるのであれば、バークの言う通り、ドルフにその話がくる可能性は高い。だと言うのに、ドルフは少しも焦る様子はなく、落ち着いていた。
「ハンターなら、一度は戦ってみたいと思うさ。頭のいかれた連中ばかりだからな」
「お前……少しは怖
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