プロローグ 黒竜記
[2]次話
――ハンターを目指したのは、何も、金に飢えていたからではない。
贅沢な暮らしがしたかったわけでも、ない。
最初は、ただの憧れだった。いつか見た、あの大きな背中と剣に、まだ幼かった私の心は、強く惹きつけられたのだ。
――ハンターを目指したのは。いや、私が目指していたものは、ハンターではなかった。私は、あの大きな背中を目指していたのだ。
迫り来る猛き竜の前に立ちはだかる、身の丈ほどの剣を携えた背中。竜の咆哮が耳をつんざき、ただ身を丸めることしかできなかった私は、それでもなお、その背中を覚えている。
今でも、はっきりと、覚えている。
それから長い時が流れ、私はハンターとなった。いつか憧れた、あの背中に、少しでも近付くために。
紆余曲折ばかりだった私のハンター人生の一端を、覚えている限り、この本に記そうと思う。この本が、私のように憧れからハンターとなった者の手助けとなることを願って。
『黒竜記 著ドルフ・アロン』
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