第百九十四話 江戸の街と城その六
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「話した通りだ」
「下の倅もですか」
「大名にする、領地もな」
その主に話した。
「決めてある」
「左様ですか」
「伊予だ」
この国だというのだ。
「その松山にな」
「封じて下さいますか」
「そうする、そして上の息子はな」
初老の男である彼にさらに話した。
「この国をな」
「継ぐことをですか」
「認める」
「そうして頂けますか」
「以上だ」
茶器等の話は言わせなかった。
「いいな」
「以上ですか」
「後は功を挙げることだ」
茶器についてはそうしろというのだ。
「いいな」
「そうですか」
「そうだ、いいな」
「それでは」
「そしてだ」
英雄はさらに言った。
「江戸城を見ていいな」
「はい」
それはとだ、主は答えた。
「どうぞご覧になって下さい」
「本丸にも入ってだ」
そしてというのだ。
「天守閣にも登らせてもらう」
「あちらにもですね」
「そうしてもいいな」
「はい、どうぞ」
主はこちらも断らなかった。
「それでは」
「その様にな」
「では他の方々と共にですか」
「させてもらう」
こう言ってだった。
英雄は仲間達と共に実際に城の中を巡っていった、それは二の丸や三の丸に西の丸に北の丸も巡ってだ。
様々な門も見てだった。
堀も見た、ここで峰夫が言った。
「堀も広く」
「深いな」
「はい」
実にというのだ。
「それがわかるであります」
「だが新しい砲ではな」
「堀に届くであります」
「そうだな」
「それでは」
「他の城もそうだが」
「守りよりも」
「司令部に兵站基地そしてだ」
その役割と、というのだ。
「政を行う場所としてな」
「使うでありますか」
「そうする、そもそもこの城の攻防となれば」
「もう街はでありますな」
江戸のそれはというのだ。
「最早」
「敵のものだ、そして破壊されていることもな」
この場合もというのだ。
「十分ある」
「そうなってしまっているのなら」
「もう城だけではな」
「江戸は意味がないでありますな」
「そうだ、これは最早大坂城も他の城も同じだしな」
「司令部と兵站基地であり」
「そして政庁だ」
そうした役割だというのだ。
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