見滝原遺跡
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なんだよてめえは? 初対面に失礼じゃねえか?」
だが、彼はコウスケのすごみに眉一つ動かさない。
それどころか、突然蹴りを放ってきた。
「危ねっ!」
バク転で避けたコウスケは、反撃とばかりに殴りかかる。だが、相手はそれを正確に見切り、よけ、受け止めた。そのままコウスケの背後に回り、拳をそのまま引っ張る。コウスケの膝を折り、首を締め上げる。
「いででででで……」
「うざいんだよ……貴様のように、誰かの手を借りる輩が」
「やめろ!」
ハルトもマシンウィンガーを降りる。
すると、彼は静かにハルトを睨んだ。
「……お前、いったい何者だ?」
「……」
彼は無言のまま、ハルトから目を離さない。やがてコウスケを蹴り飛ばし、ハルトに背を向けた。
「おい、待て!」
ハルトが走り出すも、もう遅い。
民族衣装の青年は、すでにどこかへ飛び去って行った。
「……おい、大丈夫か?」
「あ、ああ」
コウスケを助け起こしたハルトは、共に彼が飛び去って行った方向を見上げる。
「ったく、なんだったんだアイツ……次会ったら一発ぶん殴ってもいいよな?」
「やめなさい。それにしても、すごい目だったな……」
「おう! あの目つきの悪さ。ぜってえ碌な奴じゃねえ。人もう何人かやってんじゃねえか?」
「いや、そういう意味じゃなくて……なんて言うか、この世界の全部を拒絶しているって感じがしたな」
ハルトは言った。
ほんの数分だけ、目を交わしただけだというのに、それはハルトの脳裏に刻み込まれていた。
見滝原遺跡。
この見滝原では有名な遺跡で、地元では知名度の高い場所である。
だが、その入り口は山奥のさらに山奥にあるので、小学生の校外学習を除けば、立ち入るのは物好き程度しかいない。
岩山をくりぬいて、そこから地下に続くようにできており、『見滝原遺跡』と書かれた看板の隣には、下り階段から続く遺跡が地下へ通じている。
中の整備はせいぜい手すりと解説程度しか備え付けられておらず、見滝原の行政もそれほど力を入れているとは言い難い。無論空調管理設備などもなく、軽装で行けば凍えるだけである。
そんな、変人くらいしか来なさそうな場所で。
「女子中学生が来るところじゃないと思う」
暁美ほむらとキャスターがいた。
「……」
黒髪ロングの中学生、暁美ほむら。以前会った時は主に見滝原中学の白い制服を着ていたが、今回はサファリジャケットサファリハットという、見事な探検隊衣装だった。軽量な素材でできていることから防寒に関しては見ているだけで心配になるが、彼女は全く気にせずに遺跡の入り口の階段に足をかけていた。
一方のキャスターも、今回は黒い翼
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