暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
G編
第70話:悪の魔法使いの行軍
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を困惑させたのは、マリアがガングニールを纏った事だ。響の場合は例外中の例外とは言え、これで都合上ガングニールが3つ存在する事になる。明らかな異常だった。
「一体何故ガングニールが……」
「櫻井主任。何か心当たりはありませんか?」
「そう言われてもねぇ……生憎とこちとら12年間の記憶がすっ飛んでるから、その間の事となると……」
「となると、フィーネの仕業か」
考え得る限り、あのガングニールはフィーネにより横流しされた物だろう。フィーネがアメリカとつながりを持っていた事はクリスと透の証言により確認できている。
後はそれが何処かという事だが――――――
モニターの向こうではマリアがフィーネを名乗り、そして世界に対して宣戦布告も同然の宣言をしている。
その時、防衛省から映像通信が入った。相手は日本国外務省の事務次官・
斯波田 賢仁
(
しばた まさひと
)
である。
『へっ、しゃらくせぇな。アイドル大統領とでも呼びゃあいいのかい?』
「斯波田事務次官ッ!」
モニターの向こうでは、斯波田事務次官が蕎麦を啜りながらこちらを見ている。
人との通信中にもかかわらず蕎麦を啜るという、軽く常識を疑いたくなる人物だがこれでも弦十郎の良き理解者である。
複雑化極まる現在の世界情勢を前に、日本の国益を守りつつ異端技術の結晶であるシンフォギア・システムを守る為にも奔走してくれているのだ。つまり、響達が自由に動けているのは彼のお陰でもあると言えた。
それならば、多少常識外れな態度も気にせずにいられた。
『厄ネタが暴れてんのはこっちばかりじゃなさそうだぜ』
「と、仰いますと?」
蕎麦を啜りながら話す事務次官にアルドが先を促すと、彼は手元のコンソールを操作するような動きを見せた。
『まぁ、口で言うより見せたほうが早いか。こいつは少し前の米国のある基地での状況だ』
そう言うと、本部にある別のモニターにある映像が映し出された。
映し出されたのは、一面が火の海となった何処かの基地の様子だった。話の流れから察するに、米国の何処かの基地だろう。
そこを、無数のメイジが闊歩していた。
メイジ達が好き放題に当たりに魔法を放つと、施設や兵器が火を噴いて木端微塵になる。
米兵の必死の反撃も、彼らの魔法の前では無力となり反撃で逆に一掃される。
逃げる者にもお構いなしにメイジは攻撃し、基地には米兵の屍が積み重ねられる。
その様子を、モニターは克明に映し出していた。画像が不規則に揺れている事から、監視カメラの映像ではなく情報収集用に米兵か誰かが手持ちのカメラで撮影しているのだろう。
と、突然モニター向こうの映像が真後ろを向いた。撮影者が背後の異変に気付いたのだろう。
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