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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
踏み込んだアタシは、ボクになる
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さぁッ!! 」

鉄筋を踏みつけ、串刺しにされた足により深く刺さる。
テイマーは声にならない声を上げ、挙句の果てには。

「ー…!!ーーっ、…。」
「…くっさ。大の男が情けな。」

痛みのあまり漏らしていた。

「じゃ、脚切るね。」

想像を絶する痛みに意識が飛びそうになるも、菫の放った一言でテイマーは一気に現実へと引き戻される。
今、なんて言った?
脚を切る?

「ま、待て、待ってくれ。金ならやる!俺いっぱい持ってんだ!ほら、あっちの方に金庫があるから!」
「興味ないから。ボク、早く終わらせて今日こそ香子とえっちしたいんだよね。その為のチェーンソーだから。」

チェーンソーが唸りを上げる。
あんなもので脚を切られるとなれば、それは並大抵の痛みでは済まないだろう。
歯が震え、ガチガチと音が鳴る。
まともに言葉を発せられない。
許しの言葉、命乞いの言葉、反省の言葉、
どれだけ言ったってもうこいつには届かない。
しかし逃げられない。手持ちのモンスターももういない。
こんなことならもっと陰陽師から御札を貰って、もっとモンスターを増やせばよかった。

「菫さん!!もうやめて!!」
「…?」

しかしここで、思わぬ救いの手が。

「その人はもう…充分反省したと思うの!だからもうその必要はないんじゃないかって!!」
「…イリヤちゃん?」

彼女にそう言われ、菫は一旦チェーンソーを置く。

「なんで?なんでそんな事言うの?」
「そ、そんな事は…できればしないで欲しいかなって…!」
「…。」

歩み寄り、ちょうどイリヤの目線に合わせてしゃがみ菫は彼女をじっと見つめた。

「あいつは最低だよ。色んな女の子をオモチャにして殺した。そんな奴は死んでいい。殺していい。何よりボクがあいつをぶっ殺したいんだ。楽しいし。」
「でも…ダメ。」
「…。」
「そんなことをしたら葵さ…じゃなかった。菫さんも同じになっちゃうから…!ただ楽しいからって、自分がしたいからって理由で人を殺したりなんかしたら…その人と同じになっちゃうよ!」
「…!」

瞬間、彼女の中で何かが動いた。
ゆっくりと上げられる手。
イリヤは何かが来るのではないかと思い反射的に目をつぶって身構えるも。

「…分かった。」
「…え?」

その手は、頭に優しくポンと置かれた。

「イリヤちゃんがそういうのなら、ボクはそうする。あいつと同じはやだよ。香子に嫌われちゃうからね。」
「そ、そうなの…?」
「そう。それに友達にそう言われたのなら、ボクは友達の約束は守るよ。」
「と、友達…?」
「そ。友達。ダメ?」

首を傾げる菫に大し、イリヤは必死に首を振った。

「ううん!ダメじゃない!いいよ!友達!友達に
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