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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
踏み込んだアタシは、ボクになる
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ーンソーだった。

「それと、これならボクでも使えそう。うん。ボクぴったりの武器。ボクだけの、ボクだけにしか使えないとっておきの武器。」
「お前…!!それは大鬼用の…!?」

テイマーが驚くのも無理もない。
今菫が片手に持つ身の丈ほどもあるチェーンソーは本来大鬼に持たせるものなのだから。
つまり、並大抵の人間が持てる代物ではない。
だけど彼女は、簡単に持って見せた。
そして、

「お前…見てたよ。色んなモンスターを操って香子を虐めるやつだ。」
「は?」
「悪いことして、女をダシにして金儲けしてるって。そんな男には後でボクがお仕置しないと。でもその前に。」

ニッコリしていた顔は殺意に染まる。
チェーンソーを踏みつけ、スターターロープを思い切り引っ張った。
燃料は入っていたらしく、その巨大なチェーンソーはけたたましい産声を上げた。

「お前らをやっつける。」

駆動を始めるチェンソー。
菫がそれをかまえると、エッジが激しく回転し始めた。

「イリヤちゃん?だよね。」
「え、あ、はい!!」
「ぶっ殺そうよ。ここにいる奴、一人残らず。」
「…。」

イリヤはただ黙って頷く。
ついさっきまで話していたのに、まるで別人と話しているようなこの違和感。
あれだけ大人っぽかったのに、今の彼女はどこか自分と同じような幼さを感じられた。

「さっさとかかって来いよ虫けら。ボクは君達と違って…暇じゃないんだ!!!」

重いものを持っていると思わせない身のこなし。
自慢の脚力で一気に急接近し、じりじりと後ろに下がる土蜘蛛に向けて菫はチェーンソーを振るう。
エンジンの音。そして肉が強引に切り裂かれる音。

「そうだよこれだよこれ!!こういうのが欲しかったんだ!!こういうぶいーんてやつ!!あっははははははは!!!!」

返り血に染まろうが気にしない。
むしろ積極的に浴びに行っているようにも見える。
子供が遊ぶ時のような純粋な笑みを浮かべながら、
菫は土蜘蛛の蹂躙を心から楽しんだ。

『驚きですね。まさか葵さんが二重人格だとは…。』

その光景に唖然とし、最早自分の援護は必要ないのではないかと思うイリヤに、ルビーが口(?)を開いた。

「二重…人格?」
『抑圧された欲望が溜め込まれ続け、そして何らかのキッカケで誕生したもう1人の葵さん、と言いましょうか。それとともかく不思議なことがありまして。』
「不思議なこと?」

暴れる菫を傍目に、ルビーは話を続ける。

『葵さんは運動神経が良いことを除けば至って普通の人間であるハズ。なのに何故、あの菫と名乗った葵さんからは魔力を感じるのでしょう?』
「…ごめん。わかんないよ。」

キャスタークラスのサーヴァントとは言ってもイリヤ自身
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