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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
踏み込んだアタシは、ボクになる
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ここで置いていって自分だけ逃げてしまうのはそれは何よりも恥ずかしいことだから。
しかし
「あっ!」
何か強い力で引っ張られ、イリヤは転倒してしまう。
一体何があったんだろう、
そう思い足に目をやると
「なにこれ…!?」
白い糸。すなわち土蜘蛛の吐いた糸が足に絡みついていたのだ。
そして驚くイリヤだがそんな猶予も与えず、糸を吐き出した1匹の土蜘蛛はゆっくり、ゆっくりとその糸を己の元へと手繰り寄せ始めた。
「…!」
やられる。
そう本能で感じ取ったイリヤは糸をなんとかしようとするが、ビクともしない。
土蜘蛛の糸は頑丈であり、サーヴァントとはいえ子供のイリヤでは膂力で引きちぎるのは難しかった。
ならば魔術で焼き切る。そう思ったが。
「…!!ルビー!!」
それを見透かしていたかのように土蜘蛛がルビーを糸で絡め取り、奪いさる。
攻撃手段を奪われ、八方塞がりとなるイリヤ。
打つ手はない。逆転の手段もない。
自分はただ怯え、やってくる恐怖をその身で受け止めることを恐れることしか出来ない。
しかし
「…!!」
土蜘蛛の顔に、突然何かが突き刺さった。
「…。」
「それは良くないでしょ。年端もいかない女の子をよってたかって虐めるのはさぁ…。」
土蜘蛛に刺さったのは鉄骨。
そう、工事現場にてよく見かけるあの鉄骨だ。
突き刺された土蜘蛛は即死。
力無く倒れ、動かぬ死体となる。
そしてそれを難なく投げたのはサーヴァントではなく
「あ、あおい…さん?」
イリヤの後ろで気絶していたはずの葵であった。
しかし、何かが違う。
姿は同じ、声も同じ。
しかしさっきまでの彼女とはまるで違う何かをイリヤは感じ取ったのだ。
「葵…違う。アタシは菫だ。」
「す、すみれ…?」
「そ。」
ニッコリと笑いかけ、イリヤの足にまとわりついた糸を引きちぎる菫と名乗った葵。
「はい、あとこれ。」
「あ、ありがとうございます。」
奪われかけたルビーを奪還し、持ち主のイリヤに返す。
そして周りにいる土蜘蛛達は何かを感じとったのか、少しずつ後退していた。
「あ、あの…すみれ…さん?」
「アタシの事はすみれちゃんでいいよ。あれ、待てよ?"アタシ"っていうのはなんかやだな…自分の呼び方が葵とカブってややこしいし。」
イリヤを助けた葵もとい菫はどこかへと歩き出す。
向かった先にはガラクタの山。
あれやこれやとぶつぶつ言いながら菫は端の方にあるガラクタの山に手を突っ込んだ。
「じゃあ"ボク"だ。アタシはこれからボク。ボクは菫。ほら!これでますます個としての確立が出来たぞ!」
手を引っこ抜き、ガラクタを押しのけてそこに握られていたのは巨大なチェ
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