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『外伝:紫』崩壊した世界で紫式部が来てくれたけどなにか違う
踏み込んだアタシは、ボクになる
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「ふっ…。」

ため息混じりに息を吐き、周囲に転がる大鬼の死骸を見下す。
とても、少しは骨のある奴かと思ったが拍子抜けした、それはとても他愛のない相手だった。

「で?次の相手は誰なんだ?テイマーさんよ。」

監視カメラに向けまだまだ余裕の態度を見せつけるがテイマーからの返事はない。
なんだ?品切れになったからシカトでも決め込むつもりか?

「…。」
「返答がありませんね…。」

カメラを見て、取材に来た葵とかいうやつのサーヴァント、紫式部がそう言った。
そして監視カメラのあるポールに触り、何をするかと思えば

「? 何してはるん?」
「逆探知です。カメラを通して映った映像がどこに向かうのか、その大元を辿ります。」

驚いた。さすがはキャスターだ。そんなことも出来るんだな。
今度イリヤや美遊にも出来ないか聞いてみよう。

「…。」

探知中なのだろう。
彼女は目を瞑り、ポールを握ったまま動かないでいる。
幸いモンスターが来ることはなく、彼女を邪魔するものは何も無いし俺達がそれを排除する必要もなかった。

「…!」

そして、彼女が目を見開いた。
こちらを振り向いた表情はどこか不安げであり、切羽詰まっているようにも見える。

「どうした?」
「いけません…!早く向かわなければ…!」

そういい紫式部はドレスの裾を上げ、とたとたとどこかへと走り出す。

「おい!どうした!?」
「申し訳ありません!今はそうしている時間すら惜しいのです!!ともかく私についてきてください!!」
「ったくしょうがねぇな…!」

状況が分からないまま走らされるのは多少イライラするが、余程の事なんだろう。
表情から察するに一刻の猶予もないと見える。

「簡潔でいい!説明しろ!」
「襲われています!葵様とイリヤ様が!大量の土蜘蛛に!!」

?


地下室。

「このォッ!」

ガサガサと音を立てながら接近する土蜘蛛に蹴りを浴びせる。
しかし小鬼程弱くはなく。一度蹴っただけでは大したダメージも入らず少し仰け反るくらいだ。

「イリヤちゃん!」
「いきます!!フォイアー!!!」

イリヤちゃんに呼びかけ、あたしは跳ぶ。
空中で身体をひねり、背後で放たれたビームは身体スレスレを通って土蜘蛛に命中する。
何匹かの土蜘蛛は弾け、息絶えるがそれを補うかのように新たな土蜘蛛がぞろぞろとどこからともなく這い出てくる。

「葵さん…!」
「ダメだ…キリがない…!!」

ちまちまと相手していてはこちらがやられるのは確定だろう。
いつまでもイリヤちゃんに頼っているわけにもいかないし、何か打開策を見つけないといけない…。
こんな時…香子がいてくれれば…!

「これはマズイで
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