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同盟上院議事録〜あるいは自由惑星同盟構成国民達の戦争〜
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦
【著名な戦闘】ヴァンフリート4=2防衛戦(2)〜交戦星域首脳会議〜
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 人民元帥が【交戦星域】全土へ首脳会議の特例会の招集を要請してから5日後のことである。アスターテ連邦共和国元首であるギルエ・グラスはパランティア連合国首都、ムンドブルグの高級ホテルにいた。
 予定時刻の1時間ほど前、彼がいたのは会議を行う部屋の一階下にあるバンケットホールである、そこでは構成邦首脳たちが飲み物を片手に歓談している。
 正式な会談が行われる場には今、事務局員達が右往左往して手筈を整えているはずだ。
 一見、和やかなようであるがこの場で話が進展することもあれば何某かの重大情報が転がり出たりもする。ならば正式な会談を行えばよいではないかといわれそうであるがそのような場ではできない話をするからこそ毎度設けられる場なのだ。
 昨年いきなりティアマト民国議長の座に殴りこんだ素人政治家タロットが此度の騒動の発端にして被害者であるカイレ人民元帥と歓談している。
「ありがたい話だ。とはいえ戦後の被害復旧も考慮に入れて――」
「あぁもちろんだ。必要なのは発信であって君の国への支援自体は人道に則り――」
「ふふふ、君のビジネスマンとしての履歴書の次は政治家としての履歴書の第一筆に記されるとは――」

「ふむ」
 実際は別室で実務者同士の詰めがあるのだろうがヴァンフリートへの食糧支援はティアマト民国にとって珍しいことではない。ヴァンフリート革命を引き起こした原因は食糧輸入地域であったヴァンフリート工廠プラントにナイナーニェン元帥と私兵隊が雪崩れ込み、食糧輸入先であるティアマト星域の農業特区を支配しようとしたからである。ハイネセンが忘れ去られた回廊を再発見するはるか以前、ルドルフによりオリオン腕で大粛清が行われている最中の頃であった。

「久しぶりだなハンソン首相、そちらの”陛下”は壮健でいらっしゃるか」
 グラスがからかうように言うとじろりと視線を向けるのは上質なスーツをまとってもどこか金気のにおいがする老人――アルレスハイム左派の長老にして首相、リッカルド・ハンソンである。
「陛下はやめてくだされ大船団総裁閣下(プレジデ・オブ・グランフリーツ)。我が国の統領(コンスル)は元気にやっております」
 元気すぎるほどに、かね。とグラスが言うとハンソンはわずかに口元をほころばせる。

「そうか、政務についてからはお会いしてないが、彼女は話していて楽しい。落ち着いたら一度そちらに伺いたいものだ」
 えぇ是非とも、とハンソン首相が返す。 
「ところで‥‥‥デルメルのマルティノス卿は――来ていないか」
 反戦主義のデルメルの指導者はマルティノスと呼ばれる亡命者系の”矢玉を知る”老人である。成り立ちからして【コルネリアス大侵攻】における帝国系を中心とした”内応者狩り”の被害者であり、更に地下資源をめぐる帝国との戦争にお
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