第百二十七話 橙から灰色へその五
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「守ることですな」
「そうじゃ、その為にな」
まさにというのだ。
「お主はな」
「学ぶべきことは全て学び」
「そしてな」
「寺も門徒達もですな」
「学ぶのじゃ、しかしそれがわかっておるな」
「はい、この戦国の世のことは」
「もうわかっておるか」
証如はここで顕如のその聡明さを観た、それで彼に対して思いを込めてそのうえで彼に対して言った。
「見事じゃ」
「拙僧が」
「うむ、ならな」
「それならですか」
「拙僧が言ったことを全て学んでくれるか、いや」
証如はさらに話した。
「それ以上のものを備えてくれるな、ではその備えたものでな」
「本願寺と門徒達を」
「守れ、そしてな」
「そのうえで」
「出来ればこの戦国の世にな」
この乱れた世にというのだ。
「少しでも泰平をな」
「それをですな」
「もたらしてくれるか」
「承知しました」
顕如は父にまたしても確かな声で答えた。
「そうさせて頂きます」
「ではな、では拙僧の後に」
「寺に門徒達を」
「頼む」
父は我が子に告げた、そして彼は自分がすべきことを全てしてからだった。
静かに世を去った、その後で。
彼は父の葬儀を終えた後で祖母に自ら言った。
「これからは拙僧がです」
「ことを進めていきますか」
「はい、ですが」
「そうです、そなたはまだ子供です」
祖母は強い声で話した。
「ですから」
「だからですね」
「何かあれば私がいます」
自分がとだ、祖母の鎮永尼は話した。
「ですから何でもです」
「お祖母様にですか」
「お話して下さい」
「そうしていいのですね」
「その為に私がいます」
やはり強い声で言った。
「ですから」
「だからですか」
「何でも話して下さい」
「そうしていいのですね」
「そうです、何でも」
まさにというのだ。
「頼るのです、いいですね」
「そうさせてもらいます」
「それでは」
こう頷いてだ、それでだった。
顕如は実際にだった、祖母にあらゆることを聞いてことを進めたが祖母はその彼を見ていつも唸るばかりであった。
「そなたは実に聡明です」
「そうですか」
「親鸞様以来でしょう」
こうまで言うのだった。
「それだけです、しかも常に謙虚で」
「それで、ですか」
「学び続き誰にも穏やかで慈しみがあります」
「心もですか」
「よいです、だからです」
それだけにというのだ。
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