第二部 黒いガンダム
第五章 フランクリン・ビダン
第一節 救出 第三話(通算83話)
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新技術などをいちいち習得していては操縦どころではなくなるから、機付長と整備兵に任せるのだ。パイロットの方も、整備兵と上手く付き合わなければならないから、敢えて整備に細かい口は挟まない。精々がセッティングの微調整やスラスターの噴かし具合である。
点検は既に終わっていた。すぐに起動シークエンスを始める。炉は既にアイドリング状態だが、MSの起動はジェネレータとは別だ。ジェネレータはほぼ永久機関のように稼働する熱核融合炉で、ミノフスキー物理学が産み出した人類の輝ける文明の利器である。旧世紀に理論上可能とされた核融合炉発電機はエネルギー効率と安全性に優れているが、中性子の放出運動に耐えきれる金属が存在せず、宇宙世紀に入ってもようやく量産に漕ぎ着けたものの、小型化はなかなか出来なかった。小型化はミノフスキー粒子による中性子の封じ込めに成功したことで実現した。
サブコンピュータが自動的にベリファイチェックを行い、サブモニタに文字列が映画のエンドロールの早送りみたいに流れていく。エラーがあればスクロールが停止してエラー箇所を提示してくれる。
その間、カミーユはコンソールモニタで武装の確認をしていた。《ガンダム》は滷獲機のため、武装は何もない。そもそもこの機体は一切の固定武装がないのだ。連邦製MSには標準装備である頭部ガトリング砲すらアタッチメント式である。さらにはビームサーベルは着脱式バックパック上部に備え付けられた補助AMBACアームに装着されているため、本体には武装がない。試作機ならではの仕様と言える。
「武装は《リックディアス》のが使えるようにしてあるぜ」
ハッチから覗き込んだアストナージが声を掛ける。《リックディアス》はアナハイム・エレクトロニクス社で擬装された際にマニピュレータを連邦仕様に合わせてあるため、《ジムII》と共通の武装が使えるようになっていた。《ガンダム》は当然連邦の武装が使えるので、カミーユは《ジムU》で使っていたボウワ社製BR85Aビームライフルを装備させるつもりだった。
「敵艦に乗り込むんですよ? 《リックディアス》のなんかヤバイでしょ」
敵に奪取されることで《リックディアス》の性能が推測されやすくなるとカミーユは考えたのだ。だが、アストナージの答えは驚くべきことだった。
「なにいってんだ! アナハイムは連邦にも武器を売ってんだ。MSならともかく、バズーカぐらい呉れてやったってかわりゃしないよ。第一このバズーカ、中身はは共和国のツィマッドのだから、連中のマシンじゃ照準も合わせられないって」
では、何故、逆は可能なのか?
「そりゃ、MSはジオンの十八番だからさ」
連邦軍の技術士官からジオンへの称賛を聞くとは思わなかったカミーユは面食らった顔を晒した。
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