第二部 黒いガンダム
第五章 フランクリン・ビダン
第一節 救出 第二話(通算82話)
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エマの作戦はいたってシンプルなものだ。エマが《アーガマ》のパイロットを連れ《ガンダム》で帰投、《アレキサンドリア》艦内の人質を確保、人質とともに《ガンダム》で脱出する。予想される人質は五名。辛うじてMS二機で連れ帰ることができる人数だ。
だが、作戦とはシンプルだから成功するわけではない。失敗しないための努力――主に情報の収集と適切な人選、目的の明確化、そして手順と命令の徹底が重要であることは明らかだ。
シャアの組んだオーダーはエマが《01》、カミーユが《03》に搭乗だ。メズーンを《03》へ搭乗させ《02》を含めた三機で帰投したいとエマは主張したのだが、今のメズーンには無理というハサンの判断に、エマが折れた。ブレックスが《02》の持ち出しを許可しなかったということもある。
表向き、エマを信用したとしても相手がバスクでは、不確定要素が多すぎるからということだったが、ブレックスにはスポンサー――アナハイム・エレクトロニクス社への配慮がある。万が一にも《ガンダム》を全機失う訳にはいかないというのが本音だ。
今後の作戦や立案におけるスポンサーの発言力を抑えるためにも、ここは機体を引き渡す必要があると考えていたからだ。エゥーゴはアナハイム・エレクトロニクス社や月経連の傭兵ではない。重力に魂を囚われた者たちの私兵たるティターンズを討つのに、自らが死の商人らの言いなりに成り下がる訳にはいかないのだ。ブレックスは今後、アナハイム・エレクトロニクス社の影響力を削ぐためにも、別のスポンサーとも密接に結び付いておかねばならないと考えていた。
つまり、この作戦の意義は立案者と策定者とで微妙にことなっている。が、それはそれぞれの立場を加味すれば、共同作戦を行う大前提になるといえた。
作戦の目的は、敵の追撃を振り切るためだ。この追加作戦は、本来の作戦を遂行するために不可欠だった。さらに言えば、人質を見捨てたという汚名を着ないためでもある。
情報はエマと《ガンダム》からの得たものもあり、かなり詳細に判明している。
カミーユが選ばれたのは《ガンダム》との相性を買われてのことである。新しいMSに大はしゃぎのアストナージが《ガンダム》をバラして、あっという間に解析し、シミュレータのプログラムを完成したお陰である。流石に数に劣る旧型の《ジムU》で最新型の《クゥエル》を相手にはできない。《ガンダム》を使い倒せるだけ使おうというのがヘンケンの思惑だった。そんな指示がなくとも、カミーユとランバンは争うようにしてシミュレータを奪い合っていただろう。
「カミーユ・ビダン少尉!」
エマがカミーユを呼んだ。作戦前のブリーフィングは既に済んでいる。あとは二人の呼吸を合わせるだけだ。だから、カミーユに動揺があれば作戦は上手くいかない。そ
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