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英雄伝説〜灰の騎士の成り上がり〜
外伝〜連合の思惑〜前篇
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”戦鬼”の爺さんとは大違いだね。”戦鬼”の爺さんなら大人しく撤退なんてしないと思うよ?」

パティルナは不満げな表情で呟いた。

「パティ……確かに”戦鬼”は勇猛果敢な”将”ではありますが、”退き時”を弁えている”将”でもありますよ。そうでなければ、”メルキア四元帥”は務まりませんよ。」

パティルナの言葉に対してエルミナは呆れた表情で指摘した。



「アハハ、それもそうだね。――――――そういえばエル姉、今回の迎撃戦、何でリィン達にも協力してもらったんだい?今のクロスベルは歪竜や魔導戦艦を始めとしたメンフィルと共同で開発した兵器があるんだから、リィン達の力を借りなくてもノルティア州の奪還の為に進軍してきたさっきの連中を追い返す事もできたと思うんだけど。」

「………幾ら”連合”を組んでいるとはいえ、クロスベルがメンフィルより受けた”恩”は大きいもので、少しでも返せる機会があれば、返しておくべきです。”今”はともかく、遥か未来のクロスベルとメンフィルの関係はどうなるかわからないのですから、少なくても私達の代で可能な限りメンフィルより受けた”恩”を返して、互いに貸し借りなしの状態にしておくべきだと判断したからです。――――――そして今回の戦争で活躍して、その活躍が評されることでエレボニアを存続してもらおうと思っている奇特な人物がメンフィル軍に所属している上今回の作戦を任せる事ができる戦力を保有していたから、彼らが望む戦争での大手柄を挙げさせた――――――それだけの話です。」

「確かに言われてみれば数十万という大軍に対して常識で考えれば戦力が圧倒的に劣っている灰獅子隊(リィンたち)だけで撃退したなんて事実はメンフィルから高く評価されるだろうね。でも、それってメンフィルから受けた”恩”を返した事になるのかな?」

「リィン少将は既に連合が占領したクロイツェン州の統括領主になる事が内定している上、マーシルン皇家は彼の上の方の妹もそうですが”魔神”達と”協力契約”をした事で今の彼自身も重用しているのですから、将来有望かつ皇家も重用している人物達の”名声”を高める事は彼らを重用しているメンフィル帝国自身の”名声”を高める事にもなりますから、メンフィルに対する”恩返し”の一部には十分相当していますよ。」

「なるほどね〜。けどそれって、リィン達自身は気づいているのかな?」

「間違いなく気づいているでしょう。今の彼らには彼らの為に自ら”参謀”を務める事を名乗り上げた能天使ルシエルがいる上、彼女のように”智”に優れている者達――――――レン皇女にミルディーヌ公女もいるのですから、今頃私――――――いえ、クロスベル帝国のエレボニア帝国に対する考えも悟っていた彼女達のうちの誰かがリィン少将達に説明しているのではないですか?」


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