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おっちょこちょいのかよちゃん
129 杉山さとし、思いがけぬ再会
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「あら、山田さん」
「こんにちは。杉山君、いますか」
「あら、ちょっと待っててね」
 杉山の母は息子を呼ぶ。お待ちかねのあの男子が来た。
「なんだ、山田か」
「杉山君、今日、『あの子』連れて来たんだけど・・・」
「『あの子』・・・?」
 杉山は一瞬誰の事か解らなかった。だが、その時、かよ子の後ろにもう一人、女子が現れた。
「久しぶりねっ、杉山君っ!」
「お、お前・・・!!」
 杉山はりえを見て夏休みに彼女と喧嘩した日々を思い出した。
「来てたのか・・・」
「ええ。かよちゃんにこの休みに清水に行くって年賀状出してたからねっ。ところで・・・」
 りえは本題に入ろうとする。
「あんた、大野君と喧嘩したってかよちゃんから聞いたわ。それから持っていたあの石も手放したってね。こんな大変な時に異世界で戦えるの?」
「う・・・、お前に関係ねえだろ!あいつが勝手に言っちまうんだ!俺はあいつなんかいなくたって大将なんだよ!!」
「一人でも十分大将なのっ?じゃあ、これからの戦いで一人でも戦えるのっ?結局アンタは友達がいなくなるのが嫌で喧嘩したんでしょっ!?仲直りしなさいよっ!」
「うるせえなあ!」
「仲直りもできないのっ!?アンタはやっぱり『臆病者』ねっ!!」
「何だと、この野郎!!」
 二人は睨みあった。
「違うってんならちゃんと仲直りしなさいよっ!」
「余計なお世話だ!!」
 かよ子は仲裁に入ろうと試みる。
「ふ、二人共・・・!!」
 かよ子は何を言おうか迷った。
「お願い、私は喧嘩する為に二人を会わせたんじゃないよ!」
「あ・・・」
 りえは我に返った。
「ごめん、カッとなっちゃって」
 りえは杉山の方にもう一度振り向く。
「んで、あんたは行くんでしょうね?異世界に」
「う・・・」
「行かないのっ?なら『臆病者』ねっ。私は行くわよっ!」
「もうほっといてくれ!!」
 杉山は扉を乱暴に閉めた。
「何よ、あれっ・・・!」
「す、杉山君・・・!!」
 かよ子は扉を叩いた。
「杉山君は異世界に行くよね。私は、来てくれるって信じてるよ!」
 かよ子はこの言葉が杉山に聞こえているのか解らないが、兎に角そう訴えた。
「・・・かよちゃん、行こう」
「・・・うん、ごめんね、結局喧嘩させちゃって」
「そんな事ないわよ。でも、夏休みに会った頃からホント自分勝手よね」
 かよ子はりえが杉山を批判していながらもどこかで寂しく感じているように思えた。やはり自分と同じように杉山の事が好きだからか。そして変わり果ててしまった杉山に元に戻って欲しいと渇望しているのだろうか。
「そうだ、他の友達とも会っておきたいわ」
「うん、いいよ」
 かよ子はりえを自分の家に連れて行き、まる子やたまえを電話で呼んだ。


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