129 杉山さとし、思いがけぬ再会
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杉山はただ何もせずボーっとしていた。
「さとし」
姉が部屋に入って来た。
「ね、姉ちゃん?」
「アンタ、もうすぐ戦いに行くのよ。そんなんでいいの?」
「う、うるせえなあ、ほっといてくれよ!」
「何よ、それ。そうだ、昨日、石松に会ったわよ。大野君と喧嘩したんだって?」
「う・・・」
(石松の奴・・・。姉ちゃんに言いふらしたな・・・!!)
「それに大野君が転校するって聞いたわ。ちゃんと仲直りしなさいよ」
姉はそのまま部屋を出た。
「くそお・・・」
杉山は大野との喧嘩を思い出す。大野は親の都合だから仕方ねえだろと言った。しかし、本当はそんな言葉など望んではいなかったし、喧嘩などするつもりはなかった。寂しかったのだ。それで心にもない事を言ってしまった。「俺はお前なんか居なくなったって大将なんだ」と。
(俺に一体、何ができるんだよ・・・?)
杉山は自問自答を繰り返していた。大野と仲直りする為に、そしてこの歪んだ日常を取り戻す為に・・・。
翌日、かよ子はりえと山田家にて待ち合わせた。
「かよちゃん、おはよう」
「おはよう、りえちゃん」
二人は約束通り、杉山の家に行く。二人は道中、雑談する。
「そういえば、まるちゃんやたまちゃんは元気かしら?」
「うん、でも二人共、二人の喧嘩を気にしてるよ」
「そうなのね・・・。ところで、かよちゃん、杉山君の事、好きなの?」
「ええ!?」
かよ子は動揺した。
「う、うん・・・、実はそうなんだ・・・」
かよ子は恥ずかしく思いながら肯定する他なかった。
「だから、杉山君が大野君と喧嘩するのが見てられなかったし、慌てて止めたんだ・・・」
「やっぱり、実は私も杉山君の事、気になってたの・・・」
「りえちゃんも、杉山君が好きなの?」
「ええ、喧嘩もしたけど、どうも気になってたの・・・」
「じゃあ、やっぱり私達、恋のライバルだったんだね!」
「ええ、そうね」
「私なんておっちょこちょいだから、りえちゃんには勝ち目ないかな・・・」
「そうかしら?それは杉山君次第だと思うわ」
りえは恋敵にしては意外と謙虚な態度だった。
「それにしても異世界に連れて行かれたって言う藤木君の事なんだけど、なんか私の事気になってた感じなのよね。寄書にも『この次はボクが守ります』って書いてあったし」
「え?う、うん、でも藤木君は他の女の子もがきなんだ」
「え?」
「うん、でも私が前に野良犬に襲われた所を見捨てた事でその女の子から嫌われちゃったんだ。それで藤木君はその女の子の家に別れの手紙も書いて行ったんだよ」
「そうなの。他に好きな女子がね・・・。藤木君って案外恋しやすいのね」
「そうかもね」
そして二人は杉山家に到着した。かよ子はインターホンを鳴らす。杉山の母が出た
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