第七十一話 天空城
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プサンが本当に天空人だという証拠はどこにもない。
文献に語られている天空人の神秘的な見た目とは違って、見た目も酒場にでもいそうなおじさんだし。
だからといってただの胡散臭いおじさんって言い切る事もできない。
岩の封印を何らかの手段で潜り抜けた訳だし、こんな誰も立ち入りそうにない洞窟に明確な目的を持って訪れている以上ただものではないことは確かなんだから。
正体不明真意不明ではあるけれど情報源を確保できることは私達にとっても助けになるから同行しない手はない。
「タバサ、あの人から魔物の気配する?」
プサンに気づかれないようにタバサに耳打ちする。
彼女の魔物に特化した探知能力ならプサンが魔物に化けていたとしてもそれがわかるはずだ。
「まものの気配はしないです。ですが、ふつうの人とはちょっとちがう感じがします……」
「なら安心ね、ありがとう」
魔物が化けて私達をだまそうとしている、という可能性がないことがわかってよかった。
「まさかここを再び使う日が来るとは。いやはや運命とはわからないものですねぇ」
「プサンさん、お伺いしたいのですがあなたはこの洞窟に来て何をするつもりだったんですか?」
アベルの問いにプサンは立ち止まる。
「質問を質問で返してしまいますが、この洞窟は何のためにあると思いますか?」
「何のために…………」
辺りを見渡してみる。
天然の洞窟でないことは確かだろう。壁に火が灯されているし、それ以外にも人の手が入ったと思わしき箇所がいくつかある。
例えば安全に奥に行けるような階段とか、明らかに人が通れるような作りになっている道とか。
「この洞窟はですね、元々は天空城への『門』の1つだったんですよ。ですが勇者への試練も兼ねた天空への塔が出来て以降はそちらに役目を譲りましてね。打ち捨てられたも同然だったわけですが」
言われてから再度辺りを見渡してみると、確かに壁などに天空の塔でも見られた紋様などが刻まれていることがわかる。
「じゃあ、あなたは今から」
「ええ。かつて使っていた『門』を使います」
「でもお城は湖にあるんだよね。『門』を使っても息ができないよ」
「それは大丈夫ですよ、勇者様。天空城には結界が張られているので、水が中に入ってきているということはありません」
「なら安心だね!」
それを聞いて私もようやく警戒を緩めることができた。
天空城に無事に入る事ができるという情報だけでなく、その情報を知っていたことでやっとプサンが天空人だという確信できたから。
しばらくの間私達はプサンさんを魔物から守りながら先に進む。
未知の場所で行動する以上案内人がいるのはとても心強く、戦闘こそ避けられないまでも安心して先に進むことができた。
「さぁ、着きました。ここが天空城への『門』
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