心象変化
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アカメの剣は、以前見たのと同じようにとても鋭いものだった。
決して低くはない響の動体視力を上回る動き。そして、少しでも傷付けば即死に至るという危機感が、響の体をより鈍らせていた。
「危ない!」
ぎりぎりのところで白羽取り。だが、アカメの力はやはり強く。徐々に響は押されていく。
そして、アカメはこれまでこのような事態は何度もあったのだろう。村雨の刀身を斜めにし、白羽どりのパワーバランスを崩した。あっという間に村雨を自由にしたアカメは、そのままその刃で響を襲った。
「危ない!」
響は起き上がり、バク転で妖刀から避ける。だが、足場の悪い河原のせいでバランスを崩した。
「しまった……!」
そして、妖刀村雨が響の肩の、ほんの皮一枚を切る。
「っ!」
それが致死だと、すでに記憶が訴えていた。
右肩より、村雨の呪いが発動する。響の命をほんの一瞬で奪える呪詛が、一気に全身に駆け巡る。
「そんな……」
息苦しくなる。全身が麻痺していく。崩れた体から、だんだん力が抜けていく。
「こんなところで……未来……」
今にも心臓が止まろうとしている、その時。
___カラダ。ヨコセ!___
「うおおおおおおおおおおお!」
突如、冬の空に落雷が起こった。
冬に滅多に発生しない見滝原においての落雷は、真っすぐ響へ落ちる。雷はそのまま呪詛を打ち消しながら、響のガングニールをどんどん作り変えていく。
ガングニールはやがて、その形状を甲冑のそれへ変えていく。黄色の部分は全て銀色となり、その兜には雷を模った立物が付けられている。
響の目元はゴーグルで覆われ、その下の瞳には意識はなかった。だが、再び襲ってきたアカメが降り降ろそうとした村雨を弾いた雷の剣は、明らかに達人の動きのそれだった。
白銀の柄と、雷が固まったような剣。それを振るい、響はアカメを大きく後退させる。それはそのまま、アナザーウィザードを巻き込み、川に落とした。
「……響?」
こちらを唖然と見守るビーストにも目もくれず、響はゆっくりとアカメたちへ歩み寄る。
そして剣の射程範囲内に来たところで、雷の剣を構える。
___どこかで、雷鳴がとどろいた___
そして、その口を動かした。
___我流・超雷電大剣___
右に一薙ぎ。左に一薙ぎ。トドメに振りかぶって、雷鳴とともに振り下ろす。それに伴って発生した落雷が、川ごとアカメとアナザーウィザードを蒸発させた。
「……! これは……」
その時、響の意識が戻った。周囲を見渡し、ビーストとバングレイ、そして自らが消滅させた川と二体の敵の姿に驚く。
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