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MOONDREAMER:第二章〜
第三章 リベン珠
第30話 旅の終りと破壊の神:後編
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 今回のこの敵の攻撃にいち早く反応したのは鈴仙であった。彼女は惑う事なく雪崩を見据えると、そのままスペル発動をする。
「【幻爆「近眼花火(マインドスターマイン)」】」
 そして彼女から放たれたのは、熱と爆発のエネルギーであった。
 冷気と熱。それらがぶつかり合うとどうなるだろうか。
「っ!」
 勇美はその二つの力の衝突により生まれた激しい爆ぜに翻弄されそうになるも、どうにかその場で足を踏みとどまって堪えていた。
 そして、爆発は何事もなかったかのように収まった。そう、二つの力は見事に互いの勢いを相殺したのであった。
 その現実に、純狐は戦慄すら覚えるのだった。
「警戒すべきは特に人間の方だけだと思っていたけど、玉兎の方も厄介ね……」
「今まで勇美さんが依姫様の下で頑張っていたのを見て来ましたからね。私も負けてられないって気持ちになったんですよ」
 そう、勇美に触発されて、鈴仙も自分も努力せねばという気持ちになって今まで鍛錬を欠かさずにいたのだった。その事が今、こうして実を結んでいるという訳である。
 その事実に加えて、神霊たる純狐には感じられていたのだった。──何か、見えない大きな力が流れをこの二人に向かせている事を。こればかりは神たる彼女とて手の出しようがないのだ。
 しかし、だからといってここで身を引く訳にはいかないだろう。弾幕ごっこの勝負に持ち込んだのは、他でもない純狐自身なのだから。
(しかし、私とて伊達に仙霊を名乗ってはいない……その名において勝負は最後まで……)
 そう純狐が想いを胸にした所で、場の空気が変わったのである。
「「!?」」
 これには勇美と鈴仙は驚愕してしまった。ただでさえ今まででも類を見ない強敵を相手にしているのに、これ以上に厄介な事が起こるのかと。
 だが、今までの話から『それ』が何なのかは粗方の想像はついていた。その二人の読みに応えるかのように純狐は口を開いたのであった。
「ヘカーティア!?」
 そう彼女が気兼ねなく呼ぶ事から、その者は幾度となく耳にした『ご主人様』である事は想像に難くないだろう。
 二人が思考を巡らせる中、その者はこの場に一瞬の内に出現したのであった。
 その姿は……。残念ながら全身に赤い炎のようなエネルギーを纏っている為にはっきりとは確認出来なかった。だが、女性という事だけは分かる。
 その者に対して純狐は口を開く。
「何でヘカーティアがここに?」
 その問いに対して、ヘカーティアと呼ばれた者はこう答える。
「クラウンピースから話を聞かせてもらったわ。その話から判断して、さすがのあなたでもこのまま勝負を続けるのは部が悪いって結論に至ったのよ」
「でも、勝負はまだ……」
「何、ここからはあなただけで戦う必要はないわ。今回は『あの作戦』で行くわよ」
「『
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