第三章 リベン珠
第30話 旅の終りと破壊の神:後編
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撃の準備は整ったようであった。彼女は両脇に広げていた手を、一気に前方へと突き出したのだ。
それにより、敵の力は勇美達を打ちのめすべく迷う事なく前進して来たのであった。その光景はまるで花びらで造った猛吹雪であるかのようだ。
勇美の読み通り、これではブラックミラーでは吸い込めなかっただろう。自分の選択が正しかった事に安堵しつつも、勇美は目の前に迫る驚異に意識を集中しながら──新たな神々に呼び掛けた。
「『風神』様に『ネプチューン』様。お願いします」
勇美のその呼び掛けに応え、次なる二柱の神の力が顕現し、勇美の半身の機械へと取り込まれていった。
その間にも光の吹雪の猛攻は一気に勇美達を飲み込み、そして暴れ回るのだった。
その光景を見ながら純狐は思った。──これで直撃だろう、勝負あったなと。
「少し楽しくなっていたけど、これで終りのようですね。もうあなた方は私の攻撃の渦中に取り込まれましたから……」
そう感慨深く呟く純狐であったが、彼女は些か勝負を見るのを早まっていたようであった。そして、違和感に気付くのである。
「いや、何かおかしい……」
そう言って純狐は目の前の光景に目を凝らす。──確かに今、彼女らは私の攻撃に取り込まれている筈。そして、その攻撃の規模は……。
「はっ!?」
その瞬間に純狐は気付いたようだった。この殺意の百合の規模が徐々に弱まっている事に。
そして、その事実はみるみるうちに明るみに出ていく事となる。勇美達を囲んでいた猛吹雪は吹雪程度となり、更には細雪程度となり、ついには止んでしまったのだった。
「一体何をしたの?」
そう訝る純狐の視線の先には、じわじわとその答えが見え始めて来るのであった。
「そんな、まさか……?」
そう呆気に取られながら呟く純狐の視界には、煙突状の突起が生えていたのだ。そして、その効果の名前を勇美は公言した。
「【筒符「サンタ以外も歓迎の秘密の入り口」】です。この中にあなたの殺意の百合は吸い込ませてもらいました」
「そんな事が……」
勇美の説明に、純狐はまたも素直に驚くのであった。これがクラウンピースから聞いた黒銀勇美の実力かと。ここまでされると、自分は相手を多少なりとも過小評価していたと言わざるを得ないのであった。
このまま勝負を続けるのは……。そう思った純狐であったが、それをおくびにも出さずに彼女は新たなるスペルの発動を行う。
「【「震え凍える星」】」
純狐はまたも両手を広げて、そこに力を集める。だが、今回は光ではなく、どうやら名前の通りに冷気の塊であったようだ。
「はっ!」
それを純狐は掛け声と共に眼前に突き出したのである。すると冷気の塊はまるで雪崩のようになって勇美達へと襲い掛かっていったのだった。
「勇美さん、ここは私に任せて下さい」
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