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MOONDREAMER:第二章〜
第三章 リベン珠
第29話 旅の終りと破壊の神:前編
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ーを集める行程を勇美は幾度となく見てきたつもりであった。
 だが、今回のは些か様相が違ったのである。その集まった光には淡く光る部分が存在せずに、濃厚な光の塊といった感覚であった。
 言うなれば、白の絵の具を『全く』水に溶かさずにキャンパスに塗りたくったかのようであったのだ。故に、光という神々しい産物を操っている筈なのに、どこか禍々しさすらそこからは感じられるのだった。
 当然純狐は光を集めるだけで終わる筈がないのである。彼女はその手の平に力を籠めると、そこから光がレーザー状に発射されたのであった。
「来る……!」
 そう思って勇美は咄嗟にその場から離れたのである。そして、純狐から放たれたレーザーを間一髪でかわす事に成功し、それは先程まで勇美がいた場所に直撃したのであった。
 そのレーザーもまた、混じり気の無い光の塊といった外観なのであった。正にそれは、絵の具のチューブを惜しげもなく握り潰して中身を絞り出すが如く濃厚な光の直進なのであった。
 そして、地面に直撃したそれは、遠慮という概念を持ち合わせていないかのように、派手にそこを削り取ってしまったのだ。そこにはドリルで開けたかのような大穴が刻み込まれていた。
「なんて威力……」
 勇美はその力に純粋に感心するのであった。そこには嫉みや恐れといった感情すら霞ませるように、ただただ尊敬の念が先行して沸き上がってくるかのようだ。
 そして、勇美には純狐に対して、敬意や憧れに似た感情すら覚えるのだった。
 当然、そのような気持ちを抱くのは勇美にとってもそうそうない事である。
 確かに、今まで弾幕ごっこを自分とした者達に対しての尊重の精神は常に沸き出ていたのではあるが、『渇望』『憧れ』といった念ほどのものとなると勇美でも滅多に抱く事のない感情なのである。
 例外として、何かと自分と向き合ってくれ、かつ能力面でも人格面でも隙のない依姫にだけはその気持ちは常に起こっていた事である。逆に言えば、憧れるといった衝動は依姫以外には余りなかったと言えるのだ。
 だが、今のこの状況はどうか? 勇美は今、ただただ純粋に強大というだけの純狐の力に尊敬の念すら覚えているのだった。
 しかし、勇美とてただ力だけが強い存在には憧れはしないのだ。そのような力だけ有り余った存在は母親だけで食傷気味なのだから。
 では、何故勇美は純狐の力に渇望を覚えたというのだろうか? その答えは、純狐のそれが混じり気のない真っ直ぐな力だったという事だ。そこには嫌味のない純粋さすら感じられた、だから勇美は依姫とはまた違う力の魅力に見入ってしまったという訳だった。
 故に勇美は思った。──この勝負、絶対勝ちたいと。このような素晴らしい力の使い方をする者と渡り合い、そして勝てたらどれだけ心地良いだろうかと。
 そして、基本的に勝負に
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