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MOONDREAMER:第二章〜
第三章 リベン珠
第29話 旅の終りと破壊の神:前編
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には忘れて欲しくないのである。──復讐するにせよ、自分が楽しいと思えるような方法でなくてはならないという事を。
 勇美はそれを忘れた事は今までなかったのだった。復讐に身を捧げて自身が喜ぶ事をなしえなかったら無意味であるという事を。
 その事を純狐にはこの弾幕ごっこが終わった頃には気付いていて欲しくて勇美はこう言うのだった。
「純狐さん……。この勝負、楽しみましょう」
「!」
 思いも掛けない事をそう勇美に言われて、さすがの神霊という大それた存在の純狐とて、意表を突かれて暫し呆気に取られてしまったのだった。
 だが、漸く自分の意識を再度集中させると、彼女は様々な感情を込めた笑みで以ってこう返した。
「ええ、思う存分楽しませてあげましょう!」

◇ ◇ ◇

 こうして、ここに今回の異変の大元の元凶の存在と勇美達の弾幕ごっこの火蓋は落とされたのである。そこで純狐は言う。
「クラウンピースから聞いているわ。あなた方は後手に出る方がやりやすいという事を、それから、私が楽しませると言った手前その事はきっちりこなさせてもらわなければならないわ」
 そう言って純狐は一呼吸置いてからこう言い切った。
「と、いう訳で、まずは私から行かせてもらうわ」
 そして、純狐は右手を開いて眼前に翳すとスペル宣言をする。
「【掌の純光】」
「!?」
 その宣言の瞬間、勇美の脳裏には疑問符が浮かんだのである。理由はスペル名の本題の前に『○○符』のような付属語が振られていなかった事にある。
 これは切り札級の攻撃という事だろうか? だが、最初から大技など……。
(そう言えばあったっけ……)
 勇美はここで先程の考えを訂正して、思い直すのだった。それは、他でもない、依姫と最後に戦った時の事を思い出してである。
 あの時彼女は、勇美にとって戦いやすくする為のハンデとして、使用する神降ろしを彼女が月で戦った時と同じ順序で行うという事をしたのである。その際に、結果として大技である火雷神の力を最初に使用するという展開になったのだ。
 だが、その可能性を勇美は否定するのだった。今の純狐からは、まずは小手調べといった様相が窺えるからである。
 そうなると考えられるのは、これであった。
(純狐さんのスペルカード名には副題が無いのかな……?)
 それが現状で最も信憑性のある推測であった。今までそのようなスペルを使う者とは戦った事は無かったが、物事には何事も例外というものがあるという訳だろう。
 だが、その考察を勇美は一先ずやめる事にしたのだった。副題がなくとも敵はスペル発動をしてくるのだ。ならば当然それに自分は向き合うまでであると。
 勇美がそう思考から切り上げるとほぼ同時だっただろうか。純狐が翳した手の平には光が集まっていたのである。そういった光エネルギ
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