第三章 リベン珠
第28話 決戦の前の一時
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たら、あたいの仲間達に退くように説得するよ」
「うん、そうしてくれると助かるね」
大規模な異変となった今回だが、事は意外に順調に解決の方向に向かっているなと勇美達は実感する。
この事から、自分達のやるべきなのは後一息なのだと彼女達は思うのだった。残すのは、今回の月の都の侵略を企てた首謀者とやらと決着を着けるだけなのだと。
その事実を噛み締めながら勇美は言葉を放つ。
「もう……一息ですね鈴仙さん」
「ええ、勇美さんの言う通りですね」
勇美に言葉を返しながら鈴仙は思い返す。考えてみれば、自分はこうして主役になって異変解決に向かったのは初めてだと。
そして、今回の旅でパートナーとなる勇美と共に解決にまで後一歩という所まで来たのである。それを達する事が出来たら、今後の自分にとって間違いなくプラスとなるだろう。
そう心の中で鈴仙は決意を新たに噛み締めるのだった。
だが残念。世の中には燃える心を萎えさせる障害となる事態というのは必ず起こるのである。今回もそれが正に姿を現そうとしているのだった。
事の発端はクラウンピースのこの言葉である。
「ところで……まずあなた達の名前は何だっけ?」
「あ……」
そう言えばクラウンピースには自分達は名乗っていなかった。そう改めて思い、勇美はお詫びの気持ちと共に自己紹介を始める。
「私は黒銀勇美。そしてこの兎さんは鈴仙・優曇華院・イナバさんだよ」
「よろしくね、クラウンピースさん」
勇美に勧められて鈴仙も自己紹介をするのだった。こうしてここにいる者達は皆、互いの名前が行き渡ったという事である。
「難しい話はさておき……ちょっと聞いていいかな?」
ここで、突如クラウンピースは体を乗り出して勇美に聞いて来たのである。
「な、何?」
そんなクラウンピースの様相に、勇美はたじろぎながらも返す。対してクラウンピースはこんな質問をしてきたのだ。
「勇美はそのミニ丈の和服で戦ってた訳だけど、その心地はどうだった?」
突然のクラウンピースのその質問に一瞬勇美は呆けるが、再度意識が集中されていくと彼女は満面の笑みを浮かべ始めたのであった。
「よくぞ聞いてくれましたぁ♪」
「うわっ!?」
『待っていました』と言わんばかりの勇美の態度に、質問の当事者である筈のクラウンピースですら怯んでしまう程であった。それに構わず、勇美は意気揚々と言葉を紡いでいく。
「いい? これは大切な事だから、耳をかっぽじってよく聞くように」
そう言う勇美の様子は正に、水を得た魚と言う表現が見事に当てはまるものであった。そんな先程の自分よりも喰らいつくような振る舞いに、クラウンピースもタジタジのようだ。
「それはもう最高だよ。和服の肌触りが足に直接伝わる状態で戦うんだから、気持ちいいのなんのって♪」
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