第三章 リベン珠
第28話 決戦の前の一時
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「ううう……規格外すぎるわよぉ……」
そう言って頬を膨らませて抗議しているのはクラウンピースである。
「ヘルエクリプスに狂気の瞳を投影するなんて、やっていい事と悪い事があるっての!」
尚も彼女の不満は収まらない。だが、鈴仙とて言いたい事はあるのだった。
「あなただって、妖精として十分に規格外でしょうに」
それが鈴仙の言い分であった。切り札的なスペルカードまで投入してくる妖精など、今まで知る由もなかったからのだから。
そのように二人がやり取りしていると、そこに勇美が入って来たのである。
「まあ、二人とも言いっこなしですよ。要はあなた達二人とも規格外って事なんですから」
そう勇美が言った瞬間、辺りの時間は止まったかのようになった。
そして、時は動き出す。
「いや、あなたが一番常軌を逸しているわよ!」
「同感ですね」
「はうっ……☆」
そのようにしてクラウンピースと鈴仙の突っ込みの総攻撃を受けて勇美は怯んでしまったのだった。
だが、当の勇美にだって言い分というものはあるのだ。
「でも、私のこの力は依姫さんの神降ろしの力を借りているが故ですよ」
「それを差しおいてでもですね……」
「そうそう、私のフェイクアポロにハッキングするなんて、そう易々とこなせる芸当じゃないって事よ」
「そうかな〜……」
そう二人に言われても勇美は実感が持てなかったのだった。その理由は、彼女は今までがむしゃらな気持ちで神降ろしの力を借りて戦って来たので、それによる戦法がいかに大それているかという事を感じ取る事が出来なかったという事なのである。
それはともあれ、今の問題はその後の事である。そう思っていると、クラウンピースは口を開いたのだった。
「でも何で? 生命の象徴である我々妖精族がここを支配している限り、月の民は手も足も出ないって聞いたのに……」
クラウンピースのその呟きに勇美はやや横槍を入れるような感覚で言った。
「そう言ってもね、私の場合は地上の人間だからね」
「くそぅ……何でこんなイレギュラーなのが……」
勇美から告げられたその事実にクラウンピースは舌を巻くしかなかったのである。
対して、クラウンピースが言った事を鈴仙は聞き逃してはいなかったのであった。
「ちょっと待って下さい。誰からその話を聞いたのですか?」
その話とは、他でもない生命で支配すれば月の民は手も足も出せないという事についてである。
「それはね、あたいの『ご主人様』の『ご友人様』だよ。そのご友人様の力で妖精達を『純化』したってワケ」
「純化?」
その聞き慣れないキーワードに、当然勇美は聞き返すのだった。
それも至極真っ当な反応だろうと、クラウンピースは詳しく説明していく。
「要するに構成する要素を混じり気のない純粋なものにす
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