第27話 ダサかっこいい的な何か:後編
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あれを見て下さい!」
戸惑う勇美に、鈴仙は的確に指示を出す。そして、勇美がその指示に従い天井──があった上空を見ると三機の飛行物体が迫っていたのである。
それは、ロケットの形状をしたミサイルであった。さしずめ宇宙船アポロの模造品といった感じだ。
勿論それらはロケット型のミサイルである為に、ただ上空を飛んだりはしていない。それらは一心不乱に勇美達を狙って地上へと向かっていたのだった。
「どうかな、あのミサイル達に狙われて今か今かと迫られる気持ちは?」
これで勝負あったと決め込むクラウンピースは、さも得意気に二人に対してのたまっていた。
「くぅっ……これはマズい」
それに対して、当然勇美は行き詰まった風に苦々しげに呟いていた。彼女は顔を下に向けていてその表情を窺う事は出来ない。それを満足気に見据えるクラウンピース。
この相手の反応からも、もう自分の勝ちで決まりだろう。そう思い彼女はふんぞり返っていた。
だが、どうやら話の結論を出すには早かったようだ。
「なぁ〜んてね☆」
そう言って勇美はその顔を上げると、ニヤリと笑みを浮かべて見せたのだった。そして、何故かその目は閉じられていたのである。
「な、何であなたは笑っているのよ! それに何で目を閉じて……!」
「そろそろ気付かない?」
勇美は狼狽するクラウンピースの質問に答える代わりにそう言った。
「何を言って……!?」
そう言い切ろうとしたクラウンピースであったが、どうやらそれは敵わなかったようだ。
彼女はようやく気付いてしまったようだ。自分の平行感覚が乱れ、その視界までも歪んでいる事に。
「あ……れ……? あたい、どうしちゃったの……?」
「その答えはね、後は宜しく鈴仙さん♪」
「任されました♪」
勇美に言われた鈴仙は、意気揚々と彼女からバトンタッチを引き受け、そして説明していく。
「それはですねクラウンピースさん。率直に言えば私の狂気の瞳の力という事ですよ」
成る程、確かにこの感覚の乱れは狂気の瞳の影響そのものと言えるだろう。だが、それでもクラウンピースは合点がいかないのであった。
「でも、それはおかしいよ! あたいは確かにあなたの目は見てない筈よ!」
「そろそろ気付きませんか?」
「……あっ!?」
そう鈴仙に言われたクラウンピースは漸く悟る事が出来たようであった。
その答えは、遥か上空に浮かぶ日食のビジョン。その黒い筈の日食が禍々しい深紅色に染まっていたのである。
「あなた……まさか!」
「そう、あなたの創り出した日食に私の狂気の瞳の力を映し出させて頂きました☆」
「な、何て……」
その事実を知らされて、クラウンピースは驚愕という言葉では表現しきれない衝撃に襲われてしまう。
これにより取り乱したクラウンピースには
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