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MOONDREAMER:第二章〜
第27話 ダサかっこいい的な何か:後編
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うな勝利を目指すようになっていた。
 だが、それにも限度があるというものである。人の道を踏み外したような卑怯、卑劣な手段には勇美は踏み切りたくはなかったのだ。それは仮にも依姫の下で鍛練を重ねたが故に、彼女の心意気に応えたいが為であった。
 鈴仙とて勇美と似たような心境であった。彼女ももう、卑怯な事はしたくはなかったのだ。そういうのは、依姫の下から逃げたその事だけにしておきたいのである。
 そのような思惑の下、二人はクラウンピースが起きるのを待ったのであった。そして、その間に彼女は起き上がり、体制を整えたのである。
「……」
 そして、体制を整えつつ、クラウンピースは今しがた思った事を口にする。
「どうして私が起き上がるのを待ったの?」
「それは、追い打ちを掛けてまで勝ちたいとは思わないからだよ」
「右に同じですね」
 クラウンピースの疑問に、勇美と鈴仙の二人は迷わずにそう答えていったのである。
 そんな二人に対して、クラウンピースは呆気に取られつつもこう返す。
「いい心掛けね。でも、その優しさが命取りだったって事を今から教えてあげるわ!」
 言ってクラウンピースは新たなスペルカードを取り出す──無論頭の帽子の中から。
「【獄符「ヘルエクリプス」】!」
 その宣言の後、辺りに変化が起こっていったのである。
 上空に太陽が現れたかと思うと、そこに月の影が覆い被さっていったのだ。それは正に『日食』だった。
 しかし、特筆すべきはそれが『洞窟の中』で引き起こされた現象であるという事だろう。天井の存在する洞窟の中で、上空で起こる日食の光景が繰り広げられていったという事なのである。
 更には、それ自体普通の日食とはかけ離れていたのだった。
 普通は日食ともなれば、月が太陽を覆うが為に辺りは暗闇に包まれるというもの。だが、今の状況は全くを以て真逆であり、目映く明るい光が生み出されているのだった。
 これは『地獄の日食』と銘打っているが故に、普通の日食とは様相が違うという事であろうか。それと同時に、こうして洞窟内をまんべんなく照らし出している為、非常に理に敵ったスペルになっていると言えよう。
 つまり、クラウンピースはこのスペル一つで戦況の流れを自分の方へと持っていったという事である。
「さあ、二人とも丸見えになった事だし……どう攻めさせてもらおうかな♪」
 言いながらクラウンピースは、二人を交互に舐めるようにして見据えていたが、ここで考えは決まったようで意を決して結論を出した。
 そして、ここで例の如く帽子の中からスペルカードを取り出す。
「これに決めた☆ 【「フェイクアポロ」】!」
 その宣言が行われると、急激に辺りの様子に変化が感じられた。何やら激しい重圧感が勇美と鈴仙を襲うのだった。
「一体何!?」
「勇美さん、
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