第三章 リベン珠
第26話 ダサかっこいい的な何か:前編
[7/7]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
頻り放出され、気付けば辺り床は炎で埋め尽くされた箇所ばかりになっていたのであった。
(これで逃げ場をなくすつもり……?)
鈴仙はそう思った。やはりこういう知恵が回る辺り、チルノと同じに考えてはいけないだろうと。
だが、その鈴仙の読みを遙かに上回る行動をクラウンピースは取るのだった。
「そして、これも喰らっちゃいなさい!」
言うとクラウンピースは松明を振ると、そこから火球を発射した。
周りが炎で包まれている中でのその行動。一見その攻撃は炎に阻まれて通りづらいと思われたのだが、それは違ったようだ。
何と、火球が近付くと周りの炎はそれにかするような絶妙な動きを見せて、火球を避けていったのである。まるで火球の通り道を作ってあげるかのように。
更に、周りの炎が火球に纏わり付き、その威力に相乗していったのだ。これにより単純計算で火球の威力が上がったのである。
相手の足止めをしつつ、それに阻まれないどころか、逆に威力向上に繋がる攻撃をする。非常にトリッキーで対処のし辛い攻撃と言えよう。
だが、相手は戦闘訓練を受け、その後も鍛錬を欠かさなかった鈴仙・優曇華院・イナバなのである。故に彼女はその変則的な攻撃に臆する事なく立ち向かったのだ。
「面白い攻撃をしますね。でも甘いですよ」
そう言って鈴仙は、狂気の瞳の力を発したのである。すると、例の如く火球の軌道が変化されていき、鈴仙のいる所からかけ離れたあらぬ方向へと飛んでいったのだ。
そして、火球は岩壁にぶつかるとその場で爆ぜてそこに穴を開けてしまったのである。そこから、その威力を計り知る事が出来るであろう。
「えっ!?」
これにはクラウンピースは驚いてしまった。足止めの炎に阻まれる事なく直進出来るという理に適った火球攻撃を、それをものともせずに対処してしまう相手の力量には驚きを隠せなかったのだ。
だが、妖精としても格の違う彼女。驚きはしたが、直ぐに平静を取り戻して言った。
「やるわね。でも、周りの炎はどうするの? これがある限り、あなたは自由に行動出来ないわよ」
それが問題なのである。いくら火球の軌道を変えられるといっても、鈴仙は今足下を這う炎に阻まれて思うように身動きが取れない状態なのだ。故に、今の分はクラウンピースにあると言えるのだった。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ