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MOONDREAMER:第二章〜
第三章 リベン珠
第26話 ダサかっこいい的な何か:前編
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気付かれなかった種明かしをそっと自分自身にした。
(【隠符「ステルスハイド」】……)
 それは、韋駄天と大黒様の力を用いて行った、迷彩効果をもたらすスペルであった。これにより、勇美とブラックカイザーは見事に敵から自分達の事を隠すのに成功したという訳である。
 勇美の方は、ひとまずこれで安心であろう。だが、彼女は今の自分のやるべき事を忘れてはいなかったのだった。
(鈴仙さん……敵はクラウンピースさんっていいます。そして、そっちに向かいました)

◇ ◇ ◇

 そのメッセージを鈴仙は自前のその大きな耳で受け止めていたのだった。先程のそれは、勇美の思考をブラックカイザーに送り、そこから信号にして鈴仙に届くようにしたのである。
(勇美さん、分かったわ。こっちは任せて)
 鈴仙はそう勇美にメッセージを送り返すと、今の状況に集中するのだった。
 敵は松明の明かりを元に光を頼りに探っている現状。そして、自分は狂気の瞳の力で暗闇でも状況を把握する事が出来る。つまり、幾分自分の方に分があるというもののようだ。
 だが、ここで油断は出来ないだろう。先程の勇美の知らせから、敵のスペルカードの威力は高い事が窺えるからだ。
 他にスペルカードを使う妖精と言えば、氷の妖精であるチルノだが、今の話から察するにクラウンピースはチルノよりもそのスペックが遙かに上回ると考えていいだろう。
 何より月面であれ程の数多の妖精を統率していたのだ。故にその実力というものは得てして知るべきだろう。
 そう鈴仙が思考を巡らせている間にも、敵はこちらに近付いてくるのだった。松明の明かりがこちらに向かっているのが分かる。
(来た)
 そうと分かれば先手必勝というものだろう。鈴仙も勇美と同じように、やられる前にやる戦法と取ろうとしたのだ。
 だが、それを敵は許しはしなかったようである。
「さっきは相手に先に攻撃を許したからうまく逃げられたけど、今度はこっちから攻撃すればどうかな〜?」
 そう言ってクラウンピースはにんまりと笑うと、再度スペルカードを取り出すのだった。──無論頭の帽子の中から。
「【獄符「グレイスインフェルノ」】♪」
 スペル宣言を聞きながら鈴仙は思った。──この妖精は意外と賢いと。これではどこぞの氷精のようにその頭の弱さを付け入って反撃の隙を狙うのは難しいだろうと。
 だが、いつまでもそう思ってもいられないだろう。敵が先に仕掛けて来たのだから、こちらはそれに対処しなければならないというものである。
 鈴仙がそう考えている所に、クラウンピースは手に持った松明を高らかに振りかざしたのである。
 するとどうだろうか。そこから燃えさかる紅蓮の炎が放出されていったのだった。そして、その炎は地を這うように洞窟の床を突き進んでいったのである。
 その炎は一
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