第三章 リベン珠
第26話 ダサかっこいい的な何か:前編
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は妖精である事以前に目が行く所であろう。彼女の服装は、胴部と脚部が一体の全身タイツという突飛な出で立ちであったのだ。
それだけでもやや奇抜と言えるだろうが、他の幻想少女はもっと特異な格好をしている者もいるが故に、そこまで話題にもならないだろう。
だが、彼女は他の者の追従を許さないと言い切っていいだろう様相であったのだ。それは、そのタイツのデザインがアメリカの国旗である星条旗を模したような思い切ったものだったのだ。
更に、頭には道化師のような横縞模様の二股の帽子を被っている事が彼女の雰囲気の『濃さ』に一役買っているのであった。
それらの彼女の様相を見て、勇美は色々思うのだった。
(何か……例えば『らんらんるー』とか、はたまた今流行りの『カーモンベイビー』とかいうワードが出て来そうだねぇ……)
そう思いながら勇美には思考の泥沼に嵌まりかねない事実が頭に浮かんで来たのである。──妖精の世界にも、アメリカの文化って浸透しているのだろうか、と。
そんなしょうもない事を勇美が考えている中で、そのアメリカ妖精は言葉を発した。
「よくも、このクラウンピース様に痛手を負わせてくれたわね。この鬱憤は晴らさせてもらうわよ」
そう言って妖精──クラウンピースはスペルカードを取り出したのである。タイツを身に纏っているが為に服にはしまう所がないので、頭の帽子の中から。
「敵は星を使ったんだから、あたいもこれで行かせてもらうわよ」
クラウンピースはそう言いながらスペルカードの宣言をする。
「【獄符「スターアンドストライプ」】」
その宣言により、彼女の体から複数の星形のエネルギーが飛び出したかと思うと、それらが横に一直線に整列するように並んだ。
すると、その星形のエネルギーから直線上にレーザーが射出されていったのであった。それも、星は複数あるが為に、そこには正に縞模様が描かれているような光景だった。
勿論、それらの縞レーザーが向かう先は、クラウンピースが気配を感じた勇美に対してである。
遂にレーザーは勇美のいた所を貫いたのである。しかし……。
「あれ……?」
クラウンピースは首を傾げた。確かに自分は気配のする方向に向けてレーザーを発射した筈であった。だが、現状は誰もいない岩壁を抉るに終わってしまったのである。
「くぅっ……うまく逃げたか」
彼女はそう苦々しげに呟いた。だが、彼女は妖精である。故に物事を後に引きずらずに考える事が出来るのだ。逆に言うと物事を余り後先考えずにまず行動してしまうというものであるが。
「まあいいか、逃げたんなら、もう一人の方に当たれば」
そう言ってクラウンピースは勇美の側から離れていった。
(……)
その様子を勇美は、聞き耳を立てながら慎重に見据えていたのだった。そして、クラウンピースに
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