第三章 リベン珠
第25話 月面旅情
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人であったが、ここで場の空気が変わったのを肌で感じたのだ。本当の意味での空気は存在してはいないが、ここでは場の空間の見えない物の流れの変化の意味である。
それにいち早く気付いたのが鈴仙であった。彼女はその流れに対応する形で、素早く銃の引き金を引いたのである。
そして、鈴仙が放った弾丸に貫かれたのは……何と『妖精』であった。妖精は貫かれてすぐにその身を四散させてしまった。
だが、安心だろう。妖精は他の生物とは生命の構造が違うのだ。故に今貫かれた妖精もすぐに別の場所でその身を再生させている事だろう。
問題となるのは別の所にあるのだ。
「鈴仙さん。月に妖精さんっているものなんですか?」
その勇美の質問が今正に彼女達が向き合うべき問題であったのだ。そして、勇美の疑問は鈴仙が抱いている事でもあった。
「いえ、有り得ないわね、本来なら。月には月人や神や玉兎、他には小鳥のような小動物しか住んでないから」
それが答えのようだ。つまり、今の状態は極めて異質な事のようである。
「急ぎましょう」
鈴仙はそんな異質な状況から、その結論を導き出したのであった。このような状態を長引かせていては良い事はないだろうと踏んでの事である。
「そうですね、私もいつまでも浮かれている訳にはいきませんね」
勇美も鈴仙の言葉に同意するのだった。何せ否定する理由はないのだから。
そう決意した二人は、その後は何事もなく月の洞窟を抜けたのだった。
「うわあ……」
今は一刻の猶予もない訳であるが、やはり感動的な場面は感動的なのである。
勇美は今、洞窟を抜けた先が下が谷になっていた為に非常に絶景となっている光景を目の前にしているのだった。
「さあ、目的地はもうすぐですから。頑張って行きましょう」
「はい!」
そして二人は『ある者』を倒すべく先へ進むのだった。その後ろから着いて来る者の存在には気付かずに。
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