第三章 リベン珠
第25話 月面旅情
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帯へと着き当たっていたのだった。つまりは行き止りである。そこで二人はさてどうしたものかと思案するのだった。
「私なら飛んで行けますけど、勇美さんは……ですよね」
「かたじけないです」
こればっかりは仕様がなかったのである。依姫の元で修行した勇美であったが、彼女には空を飛ぶ資質がなかったが為に現在に至る訳である。
鈴仙もその事はよく理解しているのだった。故に彼女はないものを求めるよりも、今自分達に出来る事を模索しようとしていた。
「あ、鈴仙さんあれを見て下さい」
鈴仙がそう思案している中で勇美からの声が掛かって来たのだった。何事かと彼女は勇美の示した先を見据えた。
「これは……」
それに驚く鈴仙。そこには山の側面にぽっかりと空いた空間が存在していたのだった。
「とどのつまり、これは洞窟ですね。月にもこんな物があったんですね〜」
そう言いながら勇美はウキウキしていた。月面でもこうして冒険らしい局面にありつけて、勇美は心踊るのであった。
「成る程、では決まりですね。この中に入っていくしかありませんね」
「そうこなくてはですね☆」
鈴仙の同意も得られて、勇美は大いにはしゃぐのだった。そして、もはや彼女には迷いはなかったのだ。
そうして二人は月面の洞窟の中へと歩を進めて行ったのである。
その中はやはり無骨な岩の空間であった。しかし、地球のそれと構成されている物質が違う為か、どことなく異質な雰囲気が醸し出されていたのである。
勿論そのような場所には光が灯ってなどはいない。それであるが故に勇美はこの場に適したスペルカードを展開していたのである。
【照符「暗闇を照らす光の爆弾」】
これが今勇美が発動しているスペルである。天照大神の力を取り込んだマックスは、多面のキューブのように形作られ、あらゆる箇所から目映い光を出して月の洞窟の内部を照らしていたのだった。
「相変わらず便利ですねぇ、勇美の能力は」
鈴仙は素直な気持ちで以てそう感想を口にした。こうも臨機応変に物事に対処出来る能力というのも珍しいものだと改めて思うのだった。
だが、ここで勇美は首を横に振るのである。
「いいえ、私だけの力じゃありませんよ。依姫さんとの契約と神様達の協力があってこその力ですから」
そう、その事を勇美は今まで忘れた事はなかったのだ。自分だけの力では決してここまで来る事は出来ず、こうして今の自分がある事は様々な助力の下にあるのだ。その事が勇美に責任感を抱かせ、そして彼女の心を力強く後押しする要素にもなっているのである。
だから、その恩に応える為にも勇美は『あの者』に打ち勝ち、この異変を完全に解決する必要があるのだった。その気持ちを胸に勇美は鈴仙と共に力強く洞窟の中をどんどん進んでいったのだ。
そうして順調に歩を進めていた二
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