第三章 リベン珠
第25話 月面旅情
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行って来ます」
その言葉を残して歩を進めた勇美と鈴仙の後ろから、サグメの声が掛かるのだった。
「気を強く持って行きなさい。あなた方ならきっと『あの者』に打ち勝つ事が出来るでしょう」
「「え?」」
それを聞いた勇美達は頭に疑問符を浮かべた。確かにそれはサグメ自身の本当の『声』であったと思われたからである。
◇ ◇ ◇
そして、勇美達が本当に旅立ったのを見届けたサグメはここで言葉を発する。
『……これで本当に良かったのかしら?』
「ええ、今回の事は私達ではなく、あの子達が解決しなければならない事ですから」
そう、サグメに呼び掛けられた者の一人はいかにも生真面目そうな声質でそう言った。そして、その者はサグメに対してこう言う。
「ごめんなさいね。貴方にも私の我がままを聞いてもらう事になって……」
『気にする事はないわ。私達は同じ者を師と仰ぐ同志なのだから』
「そう言ってもらえると助かるわね〜」
そこに入って来たのは、生真面目そうな者とは対照的な、能天気そうに話す者の声であった。
そんな『二人』を前にして、サグメは話を進める。
『でも、はっきり言って今の異変は『あなた方』が解決に向かった方がてっとり早いと思うのだけれどね……』
「いえ、『あの者』は率直に言うと私以上の実力を持っていますから、いくら私とて一筋縄ではいかないでしょう」
『それでも、あなたの能力はただの力ではないでしょう。純粋な力量を埋め合わせる程の可能性を、あなたの能力は持ち合わせているのだから』
そう言うサグメに対して、生真面目そうな者はこう答える。
「ええ、確かに私の能力を使えば容易とはいかないまでも勝てるでしょう。ですが、それでは意味がありません」
『そこで、あの子達の事になる訳ね?』
「そういう事です。あの子や他の幻想郷に住まう者は今回のような事態に、自分達の力で対処出来なければならないのですからね」
その言い分に、サグメは「成る程」と言って頷き、結論を言う。
『あなた、お厳しいのね♪』
「ええ、よく言われる事ですね♪」
その言葉を交わした後、三人は笑い合ったのだった。そして、イシンは置いてきぼりであった。
◇ ◇ ◇
そして、勇美と鈴仙の一行は目的の地へと赴くが為に歩を進めていたのだが……。
「……」
その事で勇美は言葉を失っていた。一体これを現実のものとして受け止めていいのかと考えあぐねているのだった。
だが、いつまでも考えていても仕方がないものだ。ここで意を決して勇美は口を開いたのである。
「あの、鈴仙さん」
「何ですか?」
勇美に言われて、鈴仙は何事かと首を傾げる。
「取り敢えず、四の五の言わずに私の頬をつねって下さい」
「その言い方ってどうなの?」
勇美のあんまりな物言いに
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