第三章 リベン珠
第24話 報告終了と一休み
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であった。
そのような心境の下、勇美と同じく鈴仙もこの憩いの一時を十分に満喫して旅と戦いの疲れを癒すのだった。
◇ ◇ ◇
その後、二人は心地よい湯上り気分を堪能しながらサグメの下へと戻って来たのである。その際、鈴仙は勇美の着物の着付けの早さに驚いてしまう事となっていた。
そして、改めてこの黒銀勇美という少女の底力を感じ取る事となっていたのだった。この子は自分が好きな事はどこまでもこなしてしまうものだと。それが依姫の特訓に根を上げずに着いていった事にも繋がったのだろうと。
『湯加減はどうでしたか?』
「はい、最高でした」
「私もとても良かったです」
サグメに対して、二人は共に喜びの意を示したのだった。それは本心からの事であるのに加えて、否定する意味合いが全くなかったからである。
そんな二人を前にして、サグメも気を良くするのだった。
『それは良かったです。それで、今後の事ですが……』
そう言ってサグメは一呼吸置いた。別に今彼女は肉声にて話していないが故に喉が疲れるという事はないのだが、これは気持ちの問題と言えるだろう。
『取り敢えず、今日はこの屋敷で泊まっていくといいでしょう』
「えっ?」
サグメのその提案に、勇美は思わず疑問符を浮かべてしまった。
その要因は色々あった。まず、自分達がこのような重役が使う場所に泊まってもいいのかと。昼食と浴場の使用だけで自分達は十分に贅沢したと言えるのだから。
そして、今のこの状況が一刻も争う時だったからである。月の都は『ある者』の侵略を受けて、月の民を夢の世界に移転させている事、無論それは付け焼刃の対処で、長くは持たないという事。
それらの事を勇美達はサグメに告げると、彼女は事もなげに話すのだった。
『その事は二つとも問題はありません。私はあなた達にこの状況を打破する為に手を尽くすまでです。そして、一日時間を掛けた所で一気に状況が悪くなる訳でもありませんから、寧ろあなた達に万全になってもらいたいのですよ』
「成る程、分かりました」
そう勇美は言葉を返すも、些かプレッシャー染みたものを感じてしまうのだった。これだと、私達は状況打破の為に使える存在だからだと、恩を売られているようなものだと。
勇美のその気持ちを察してくれたのか、サグメはここで付け加える。
『ごめんなさいね、こういう言い方だと押し付けがましいわよね。でも、この事も分かって欲しいのです。これは私達の都合で幻想郷を巻き込んでしまった事のお詫びの気持ちもあるって事を……』
「あ……」
その時勇美は思ったのだった。確かにサグメら月の民は幻想郷に異変をもたらした。しかし、サグメ自身もその事に対して苦悩していたのだと。故にサグメも被害者なのだと。
そう思ったら、勇美の気持ちは決まるのだった。
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