第三章 リベン珠
第23話 お留守番班Aチーム
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味な黒の砲撃はこうして終わった。そこに広がっていた光景は……。
「あれ……?」
霊夢は『逆に』驚いてしまった。あれだけ周りを貪欲に喰らっていった黒の怪物であったにも関わらず、その場にあったのは、完全に消滅してその存在を確認出来なくなった機械蜘蛛のいない光景と、傷一つ付いていない博麗神社の近場の森であったのだから。
「魔理沙、一体どうなってるの?」
その理不尽な現状に、さすがの霊夢も聞くしかなかったようだ。
「安心しな、霊夢。この『オスカースパーク』は自然は生物を喰らいはしない。喰うのはエネルギーや人工物だけだぜ」
「分かったような、分からないような……ね」
霊夢とて、この超越した状況には理解が追いついていないようである。
「だろうな、私も始めて……じゃなくて、私自身この仕組みは理解していないんだからな」
「って、それでいいの?」
霊夢はそんな行き当たりばったりな方向性の魔理沙に首を捻るのだった。
「私もちょっとアブない事はしてると思うぜ。……でも、こうでもしなきゃ依姫には勝てないだろ?」
「……確かに」
その主張には霊夢も納得するのだった。才能、努力、周りの環境等様々な要因が重なって生まれたあの『化け物』には並大抵の事では勝てない事は分かるのだった。もっとも、自分の持ち味に努力を加えれば同じ場所に立てる程のポテンシャルを霊夢は持っているのだが。
「これで、どこまであいつに通じるかは分からない。だが、生み出すんじゃなくて奪う攻撃ならあいつもそう簡単には対処出来ないだろうぜ」
依姫が得意とするのは、真っ向から向かって来る攻撃に対処する事である。だが、このオスカースパークは向かうのではなく、自分の元に引きずり込む攻撃なのだ。故に、依姫もそのようなものに立ち向かった機会は少ない、もしくは全くないだろう。そこに勝機があると魔理沙は踏んでいるのだ。
そこまでの理論を聞いて、霊夢とて身の毛がよだつ思いとなるのだった。──少しは自分も努力していかなければ、気が付いたら追い抜かれているだろうと。
加えて霊夢は感じた。ますます魔理沙は『種族:魔法使い』と化す兆候が強くなっているのではないだろうかと。
もしそうなったら、魔理沙は自分とは『住む世界』が違ってしまうのだ。故に正直に言うと寂しい気持ちは今の彼女と無二の親友の霊夢にはあるのだ。
だが、それを止める権利は自分にはない事も分かっているのだった。人間のままか、種族:魔法使いになるかは魔理沙自身が決める事なのだから。
しかし、取り敢えずそれは今考える事ではない。今は一刻も早く月から起こされる異変の解決を、幻想郷側で出来る限りの事をしなくてはならないのだ。それが幻想郷に住まう者としての責務というものだろう。
「それじゃあ、他の場所に例の機械蜘蛛がいないか探しに行くわよ
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