第三章 リベン珠
第21話 お留守番班Cチーム
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苗はしみじみと感じていた。
だが、今の相手は勇美ではない。勇美のような器は持っていない。故にこれで十分だろうと早苗は踏ん切りを付けるのだった。
「行きますよ。【奇跡大剣断「アンビリバ棒カッター」】!!」
宣言の下早苗が大剣……に見える何かを振りかざすと、そこから無数の風の刃が形成され、一気に敵に向かって突き進んでいったのだ。
それにより、機械蜘蛛は風の刃の奔流にその身を次々にズタズタに切り裂かれていく。これで、普通の相手なら勝負は着くだろうが、生憎相手は普通ではないのだ。故に彼女はすかさず口にする。
「咲夜さん、今です!」
「いい判断ですね。幻想郷に馴染んで来ている証拠ですわ」
さりげなく早苗のその対応を褒めながら、咲夜は彼女の心意気に答えるべく、間髪入れずにまた新たなスペルカードを取り出す。
「偉大な時の神『クロノス』の力を借りて顕現せん! 受けて見なさい【無符「タイム・ゼロ」】」
神の力に自分の『時間を操る能力』を上乗せして、咲夜はとっておきのスペルを発動したのである。
続いて、今風の猛攻を受けている機械蜘蛛の周りを取り囲むように無数のナイフが出現していた。
だが、やはり今回の咲夜の攻撃方法は様相が違うのであった。機体を包囲したナイフの群れはまるで円を描くように彼を中心にして回転を始めたのである。
その後、更なる変化が起こっていた。回転を始めたナイフ達は、一つの円上の刃へと変貌していたのだ。
もし、相手である機械蜘蛛が人間の感性を持っていたら、恐らく驚愕していた事だろう。
だが、この場合敵が感情のない機械であったのは幸いかも知れなかった。
機械蜘蛛の周りを取り囲んだ元ナイフの群れの円刃。それが、みるみるうちにそのサイズを狭めていったのだ。即ち、その現象がどういう結果を生むのかは明らかだろう。
円刃は見事に機械蜘蛛を縛り上げていた。そして、その狭まりはますます強くなっていった。
機械蜘蛛はその圧力に押されて、ビキビキと軋む音と火花を撒き散らしながらもがくように蠢いている。
「……」
その光景を見ながら早苗は思わず唾を飲み込んでいた。相手が非生物とはいえ、計らずとも同情してしまう程のものがここにはあったからである。
その間にも、円刃の狭まりは続き──後に残った物は何もなくなっていたのだった。
それは比喩ではなく、文字通り跡形も無く、敵は無へと還っていったのである。
事の張本人である咲夜は頭を掻きながら、こう呟いた。
「やれやれですわね。今回のようではとても対人妖には使えませんね。……調整が必要ですわね」
対して早苗は開いた口が塞がらなかったが、漸くを以て言葉を発した。
「咲夜さん、凄まじすぎます。依姫さんの修行でそこまで腕を上げたのですか」
そう早苗に聞かれて、咲夜は触
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