第三章
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「やはりな」
「有名だからね」
「アメリカの人種問題はな」
「黒人、アフリカ系だけじゃなくて」
「ヒスパニックもあるしな」
彼等への差別もというのだ。
「メキシコ系やプエルトリコ系への」
「特にプエルトリコ系の人達が」
「アメリカだがな」
プエルトリコ、この島もというのだ。
「むしろアフリカ系よりもだ」
「差別されているっていうわね」
「そうだ、昔はアイルランド系やイタリア系が差別されていて」
「アジア系もよね」
「アメリカの一面だ」
差別、それが多いこともだ。
「それもな」
「そうよね、それでね」
「アフリカ系についてもな、だがお前はか」
「お肌の色を悪く言われたことはないわ」
「むしろ恰好いいか」
「そう言われてるわ、私自身もね」
夕花は父にさらに話した。
「別にね」
「肌のことはか」
「何とも思わないわ」
「黒くてもか」
「黄色くても白くてもね」
「劣等感もないか」
「何で?」
劣等感と聞いてだ、夕花は父にこう返した。
「そんなの持つの?」
「そう思っているんだな」
「お肌の色がどうかで人って変わらないでしょ」
「はっきり言うとな」
「それで何で劣等感持つのよ」
夕花はこのことが心から疑問だった、それが言葉にも出ていた。
「一体」
「それは真理だがそう考えない人も多い」
「だから差別が起こるのね」
「そうだ、そしてかつては日本でもな」
この国でもというのだ。
「それで差別されていた」
「お肌のことで」
「お前の様に黒人とのハーフでな」
「それでなの」
「肌の色が違うとな」
日本人つまりアジア系のそれとだ。
「それでな」
「日本でもそうだったの」
「終戦直後はな」
「そのお話はじめて聞いたわ」
夕花は父に驚きの顔で言った。
「そうだったの」
「そうだ、戦争が終わって進駐軍が日本に来たな」
「GHQね」
「アメリカ軍がな、アメリカ軍にアフリカ系の人もいて」
「その人達と結婚した人もいて」
「そして子供が生まれてな」
そうしてというのだ。
「肌の色が違うとな」
「差別されていたの」
「もっと言えばハーフ自体がな」
「そうだったのね」
「この話は知らなかったか」
「初耳だったわ、そんなこともあったのね」
「中には有名な人もいる」
そのアフリカ系とのハーフの人の中にはというのだ。
「衣笠さんもそうだ」
「あのカープの」
「あの人もだ」
まさにというのだ。
「そうだった」
「そういえばそうした感じね」
夕花はその鉄人と呼ばれた偉大な野球選手の顔を思い出しつつ父に応えた。
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