第六十九話 自由の国
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アでは常にショコラは品不足で、一般市民の口には滅多に入らなかった。
この品不足に関して、家臣の何名かは増産の進言をしてきたが、マクシミリアンは採用しなかった。
『常に品不足にしておけば、ブランド力も上がる。何よりショコラの輸出は僕達が独占しているんだ、大量生産して単価の値段も下がることは無い。それに人間ていう生き物は、いつかは飽きる生き物だ、何時でも誰でも飲めるような物なら、何時かは飽きられてしまうよ』
さらに、こう付け加えた。
『あくまでショコラは嗜好品だ。食べ物や衣服の様な生活必需品じゃない。生きる為に必要な物なら減税し、安く供給させるが、嗜好品や贅沢品は高く設定して減税した分の税収を補うつもりだ』
大航海時代前の欧州において、一部の勢力が香辛料の流通を独占した為、コショウ一粒が宝石並みの価値を持ち大変珍重されたという。
マクシミリアンはその歴史を倣って、ショコラの流通を操作し、カカオ豆のハルケギニアにおける価値を高める事に成功した。
そういう訳で、ハルケギニアへ輸出されたショコラは、多少高くても金に糸目をつけない上流階級の人々に全て消費された。
新世界から輸出される嗜好品にはタバコなども含まれて、これも流通の制限を行い、高い価値をつけることに成功した。
……話を戻そう。
「へ〜、それじゃ私はショコラにしよう」
「アニエスは?」
「私もそれで」
「OK、ショコラ三つにケーキを適当に三つ」
「畏まりました」
暫くして店員が、ショコラとショートケーキを持ってきた。
「美味そうだな」
「いただきまーす」
「いただきます」
ティファニアとアニエスは、フォークでショートケーキを食べ始めた。
「いい匂い」
「あ、これは……」
ケーキから発せられる『バニラ』の甘い香りに、ティファニアとアニエスは驚いた顔を見せた。
バニラも精霊の協力で栽培されて、香料としてハルケギニアに輸出されている。正に精霊様様だった
「ショコラも甘くて美味しい」
「……美味しい」
ショコラの味に ティファニアとアニエスもご満悦だった。
「所でアニエス。イロコワ族の女の子とは、まだ連絡を取り合っているのか?」
「アワサの事ですか?」
「ああ、確かそんな名前だった」
「今、アワサはイロコワ連邦の外交官として、新トリスタニアに住んでいますよ」
「そうなのか」
「外交官がてら文字の勉強をしているそうで、休暇の時は私も協力しています」
「それは結構。なんなら今度、砦に招待してはどうだろう」
「そうですね、アワサを紹介しますよ」
こうして世話話をしながら、時間が経つのを待ち、日が西
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