第六十九話 自由の国
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色が好きなのか、同じ色の服ばかり選んでいた。
「いろんな色も試して良いんだよ。このワンピースなんか可愛いと思うよ」
「試してみる!」
「おー、頑張れ」
ティファニアが試着室に入っていくのを確認すると、次はアニエスの方を向いた。
アニエスは妙にソワソワしていた。
「さて、アニエス。観念してスカートを履くんだ」
「私には、スカートは似合わないと思うんです」
「駄目だ。何時まで経っても、令嬢としての心構えを持たないで……親父に恥を掻かせるつもりか?」
「わ、分かりましたよ」
「よっしゃ!」
マクシミリアンは、親指を立てて喜んだ。
……二人が着替えている間、マクシミリアンは妻のカトレアへのプレゼント探していた。
店内を眺めていると、一番目に付くのは毛皮のコートのコーナーだった。
イロコワ連邦から輸入された毛皮を、コートやスカーフに加工する工房が店の裏に建てられていた。
加工された毛皮は、トリステイン本店へ送られ、上流階級向けに輸出されていた。
ちなみに、イロコワ連邦では精霊魔法を唱えられない獣の品種は、ある程度決まっていて、それらの獣は家畜扱いされている。
人間と精霊、獣が手を取り合うイロコワ連邦も、割りとシビアな所があった。
(毛皮か……カトレアは、毛皮のコートって余り好きじゃなさそう)
動物好きのカトレアが、毛皮のコートを送られて喜ぶとは思えなかった。
(だからと言って、珍しい色の服を送ろうにも、一年以上も会ってないからサイズが分からん)
政務と戦争で久しく忘れていたカトレアの身体を思い出し、マクシミリアンの鼻の下が伸びた。
(カトレアが魔法学院を卒業したら、ヌーベルトリステインに呼ぼう。ハルケギニアじゃ決して見られない、この自由の国を見てもらおう)
そして、ため息を一つ。
(あ〜……会いたいなぁ)
一年近く会っていない愛妻を思い出した。
結局、マクシミリアンは毛皮のコートは買わず、琥珀のペンダントを買った。
暫くして、着替え終わった二人が出てきた。
「お待たせ、マクシィ兄さん」
「お、お待たせしました」
「おぉ、二人とも綺麗だ」
ティファニアは白いワンピースで現れ、アニエスも流行の服を着て、スカートを気持ち悪そうにながら現れた。
「お買い上げは以上の物で、宜しかったでしょうか?」
店員が、ティファニアとアニエスの服を畳んで持ってきた。
「あと、流行の服もいくつか欲しい」
「ご安心下さい。既に包んであります」
「流石、早いな」
「ありがとうございます」
「ドレスはいつ頃出来るか分かる?」
「トリステイン本国で作成する事
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