第三章
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ラブレターを貰った、相手は同じクラスの堀正幸だった。眼鏡をかけて黒い髪の毛を右で分けていて穏やかな顔をしている。顔の形は面長で背は一七二程ですらりとしている。吹奏楽部でバグパイプを担当している。
その彼が好美にラブレターを出して校舎裏で返事を受けた、すると好美は彼に顔を真っ赤にしてそのうえで言った。
「返事は手紙で言うけえ」
「手紙でなんだ」
「そうするけえ」
こう言うのだった。
「それでいいかのう」
「今ここでじゃないんだ」
「今ここで言うのは恥ずかしいけえ」
顔を真っ赤にしての言葉だった。
「だからじゃ」
「それでだね」
「手紙書くけえ、明日渡すわ」
その返事のそれをというのだ。
「だからじゃ」
「今はだね」
「待ってくれるか」
「うん、そこまで言うなら」
それならとだ、彼も言ってだった。
この場は下がった、実は今この場で返事が聞きたかったが好美の真っ赤になって必死の顔を見てであった。
引き下がった、そして好美は。
その日寮で返事を必死に書いて彼に渡した、そのうえで彼に言った。
「後は放課後にじゃ」
「その時になんだ」
「話すけえ」
「それでなんだ」
「そうじゃ、その時にな」
こう言ってだった。
放課後彼は校舎裏昨日と同じ場所で好美に言った。
「いや、断られたらね」
「そう思うちょったか」
「手紙読むまでね」
「そうじゃったか」
「うん、よかったよ」
堀は好美に笑顔で言った。
「告白受けてくれて」
「正直恥ずかしくて嬉しかったわ」
好美は今も顔が真っ赤だ、そのうえでの言葉だ。
「それでじゃ」
「だからなんだ」
「もう口では言えんで」
「手紙でなんだ」
「そうじゃ」
そちらを使ってというのだ。
「返事したんじゃ」
「そうだったんだね」
「手紙書くのも勇気がいったわ」
好美は顔を真っ赤にしたまま堀に告白した。
「もう瀬戸内海に飛び込むくらいの」
「瀬戸内海なんだ」
「そうじゃ、それか広島城の天守閣の最上階からじゃ」
毛利輝元が建てたその天守閣からだ、尚今の天守閣は二代目である。初代はあの原爆で破壊されている。
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