第三章
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「ここに来てよかったわ」
「じゃあここは?」
「新選組が押し入ったところだけれど」
「それで思いきり切り合ったけれど」
「その場所だけれど」
「私新選組もいいけれど」
それでもというのだ。
「それ以上にね」
「お茶漬けなのね」
「何といっても」
「そこに行き着くのね」
「そう、だから」
それでというのだ。
「私今回京都に来た目的達成したわ」
「お茶漬け食べてなのね」
「それで今満足してるの」
「そうなの」
「かなりね、じゃあ色々史跡回っていきましょう」
修学旅行の本来の目的に入ろうというのだ、かなは修学旅行の間ずっと上機嫌だったがそれは念願の店に入って食べられたからだった。
それで修学旅行から帰ってもずっとその店のお茶漬けのことをいつも話した、それは暫く続いたが。
高校を卒業して大学に入学するお祝いに旅行に行くことにしたがその旅行先は。
「イタリアだけれどお茶漬けないわよね」
「ある筈ないでしょ」
母は娘に真顔で答えた。
「そんなの」
「じゃあどうしようかしら」
「流石に我慢したら?」
お茶漬けを食べることをというのだ。
「今回は」
「それはね」
娘はすぐに答えた。
「私にとって死ねってことよ」
「あんたはお茶漬け食べないと死ぬの」
「そうなのよ」
これが娘の返事だった。
「だからね」
「どうしようかって言ってるのね」
「朝にパンじゃなくてね」
「お茶漬けなのね」
「ご飯はご飯でも」
「お茶漬けでないと」
こう言うのだった。
「本当にね」
「一日一回っていうのね」
「食べないとね、どうしようかしら」
「だからイタリアにはないから」
そのお茶漬けがとだ、母は言った。
「最初からね」
「それでっていうのね」
「もうそのことはね」
それこそというのだ。
「諦めてよ」
「パンを食べろっていうのね」
「仕方ないでしょ」
「パンも嫌いじゃないけれど」
それでもとだ、娘は反論した。
「やっぱり私はね」
「お茶漬けなのね」
「そうよ、また言うけれどね」
「一日一回はなのね」
「食べないと駄目なのよ、どうしたものかしら」
正直言ってイタリアは行きたい、それも何があってもだ。彼女にとってはじめての海外旅行なので絶対にだ。
それでだ、こう言ったのだった。
「これは」
「だからよ」
「諦めろっていうのね」
「どう考えても無理でしょ」
「いや、それでもよ」
イタリアでも一日一回お茶漬けを食べたい、この気持ちは変わらなかった。それでだった。
かなは必死に考えた、その中で。
夕食を食べている時にだった、この時に。
最後にお茶漬けを食べようとお茶漬けの素を出した時に閃いた、それでこう言った。
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