第四章
[8]前話
「今じゃその日本に住んでな」
「日本酒のんで日本の料理食って」
「楽しくやってますね」
「わからないものだ」
この言葉は笑って出した。
「そしてあんた達と一緒に野茂も応援してるさ」
「そうなんですね」
「かつては敵でも」
「今は応援してますね」
「そうなってるからな」
それでというのだ。
「変われは変わるものだな」
「そうですよね」
「じゃあ俺達と一緒に飲みますか」
「そうしますか」
「そうするか、じゃあ今日は飲むか」
老人は日本の若者達に笑顔で応えた、そうしてだった。
コシュシコはこの日は彼等としこたま飲んだ、そしてその中でこんなことを言ったのだった。
「しかし野茂が前いたチームはな」
「ああ、近鉄ですね」
「さっきアーノルドの話で出ましたけれど」
「あのチーム今大変ですね」
「野茂以外にも主力ごそって抜けて打線も急に駄目になって」
「あれだけ主力が抜けたら弱くなって当然だよ」
近鉄についてはこう言うのだった。
「本当に」
「そうですよね」
「今年あのチームはいいとこないですね」
「最下位になりますね」
「そうなるな、野茂がアメリカで活躍することはいいにしても」
それでもというのだ。
「近鉄は大変だな」
「元いたチームはそうですね」
「あれ監督が悪いですね」
「そうですね」
「あの監督はアーノルドじゃないが」
裏切者ではないというのだ。
「大統領になった時のグラントだな」
「それもよくないですよね」
「今の話の流れだと」
「そうですよね」
「ああ、駄目ってことだ」
コシュシコは日本酒を美味そうに飲んで言った、そうして今度は野茂の話を詳しくした。その酒の話にはもう裏切者のことはなかった。
アーノルド 完
2020・10・18
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