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叺親父
第三章
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「東京で心中したでしょ」
「あっ、そうだったね」
「そうよ、私達がずっと生まれる前にね」
「じゃあ子供じゃないね」
「そうよ」
「あの人の書いた作品での兎は悪いでしょ」
 今度は瑞希が言った。
「かちかち山の」
「あの兎確かに凄いな」
 佐藤もその通りと頷く。
「あの人のかちかち山だと狸は兎好きになっただけだってのに」
「殺すからね」
「惚れたが悪いかってな」
「凄い言葉よね」
「そうだよな」
「太宰治を知っているか」
 鬼は四人の会話を聞いて言った。
「お前達は」
「いや、知らない人いないよな」
「そうよね」
「青森の人で太宰知らないなんて」
「流石に」
 四人共それはとお互いに話した。
「まして私達そんなに悪い学校通ってないし」
「それなりの進学校だしね」
「それだとね」
「知ってるだろ」
「学業に励んでいることは感心である」
 鬼はそれはいいとした。
「悪い子ではない様だな」
「太宰知ってたらいい子なの」
「少しわからない理屈ね」
 瑞希と麻子は鬼の話を聞いて二人で話した。
「どうにも」
「そうよね」
「悪い子でないならいい、ではこれで帰る」
 鬼は二人の話を聞かずにだった。
 四人に別れの挨拶を告げて立ち去った、そしてだった。
 四人はさっきのは何だったのかと思った、だがまた部屋に入って来た佐藤の母に事情を話すと彼女はこう言った。
「それが叺親父よ」
「そうだったのかよ」
「あんた達が悪い子じゃないって思ってよ」
 それでとだ、母は息子に話した。
「帰ったのよ」
「そうだったんだな」
「ええ、よかったじゃない」
「流石に攫われたくないしな、俺達も」
「勉強はしとくものでしょ」
「まあな、しかしな」 
 佐藤は母の話を聞きながらこんなことを言った。
「まさか家に妖怪が来るとかな」
「治安悪いというかね」
 河竹も言う。
「結構以上にとんでもないよね」
「そうだよな」
「妖怪が実在するとかじゃなくて」
「うちの家というか青森結構やばくないか?」
「そうかも知れないね」
「まあ四人共無事だったし」
 瑞希は飲みつつ言う、見れば彼女が一番酔っている。
「よかったんじゃない?」
「そうね、じゃあね」
 麻子も飲みながら言う。
「今日はこのままね」
「晩ご飯まで飲む?」
「そうしましょう」
「全く、そんな調子だとまた叺親父来るわよ」
 母はかなり酔っている四人に言った、だが四人はそれでも飲み続けた。
 そして佐藤の父が雪に塗れながら仕事から帰ると解散してそれぞれの家に帰った、佐藤はそのまま家で夕食を食べたがかなり飲んでいたのでトイレが近かった、そして風呂場で酔って湯舟にざぶんと入って大きな音を立てて母に怒られた。そこでまた叺親父
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