第七章
[8]前話
「将来だって約束したでしょ」
「結婚のことも」
「だからね」
「僕と一緒にいるんだ」
「そうよ、私は地位やお金はいいから」
そうしたものには興味がないというのだ。
「地位はどうでもよくてお金は必要なだけあればね」
「いいんだね」
「それよりもね」
「僕と一緒にだね」
「いたいから」
それでというのだ。
「今もこうしているのよ」
「僕の秘書として」
「秘書になったことも」
このこともというのだ。
「義彦君と一緒にいられるからだから」
「それでなんだ」
「そうよ、いつも一緒にいたいからよ」
「それでだね」
「秘書になったのよ」
「それなら仕事の時もっと砕けてもいいのに」
「お仕事は真面目にしないと」
沙織は持ち前の真面目な性格も出した。
「それでよ」
「そういうことなんだ、真面目さは高校時代からだね」
「当たり前でしょ、じゃあ明日もね」
「会社では支社長と秘書で」
「プライベートでは恋人同士でね」
「宜しくね」
「こちらこそね」
義彦は沙織に明るい笑顔で応えた、そうしてだった。
二人でマンションに帰った、そしてそこで二人でプライベートの時間をさらに過ごした。そして次の日会社に出勤したが。
沙織は支社長の席に座る義彦に折り目正しい態度で声をかけた。
「今日の予定ですが」
「どういったものかな」
「それはです」
秘書として支社長に話した、そして義彦も支社長として自分の秘書である沙織に応えた。そうして仕事が終わるとプライベートの二人に戻った。その二人が結婚したのはこの時から三年後のことであった。
恋人は秘書 完
2020・9・16
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