第一章
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恋人は秘書
武田寿子の職業は秘書である。
赤がかった髪の毛をショートにしていて切れ長の知的な印象を見セる目で面長の顔で鼻は高く唇は小さく引き締まっている。背は一六六程ですらりとしたスタイルだ。膝までのタイトスカートの黒系の色のスーツもハイヒールもよく似合っている。
その彼女にだ、彼女が務めている八条水産福岡支社の支社長の八条義彦はよく言っていた。年齢は寿子と同じ二十七歳であり実は八条大学でも同級生だった。背は一七五程で面長で髪の毛はオールバックだ。切れ長の目は落ち着いた感じですらりとしたスタイルで何時も清潔なスーツを着ている。その彼が言うのだ。
「武田君が秘書でよかったよ」
「そうですか」
「いつも僕の仕事を管理してくれていて」
そしてというのだ。
「調整してくれてね、助言もしてくれるから」
「秘書ですから」
寿子は義彦にいつもこう返していた。
「それはです」
「当然のことなんだ」
「はい」
まさにというのだ。
「ですから」
「言うには及ばないんだね」
「そうしたことを言われるなら」
それ位ならというのだ。
「勤務を続けられて下さい」
「支社長としてだね」
「そうです、責任は重大です」
「福岡も水産は重要だからね」
「日本人は魚介類をよく食べて」
寿子は義彦に冷静な声で述べた。
「そしてです」
「福岡には博多があってね」
「博多は河豚も有名です」
「だからね」
「河豚のことには目が離せません」
どうしてもというのだ。
「グループの直営店もありますし」
「そうだね、じゃあね」
「しっかり働いて下さい、そして」
「そしてだね」
「私への発言はです」
これはというのだ。
「必要ありません」
「そうなんだね」
「当然のことをしているだけなので」
それ故にというのだ。
「全くです」
「いらないんだね」
「はい」
まさにというのだ。
「左様です」
「ううん、僕としてはね」
「感謝されていますか」
「いつもね」
それでというのだ。
「言うけれど」
「ですからそれはです」
「当然のことだね」
「左様です」
あくまでこう言う寿子だった、そして実際に寿子は淡々と仕事をしていって義彦の秘書であり軍師であり補佐役として万全に働いていた。
その彼女を見てだ、義彦の一族である八条家の総帥世界的な企業グループを率いる彼はよくこう言っていた。
「出来ればな」
「武田君はですね」
「総帥としてはですね」
「お傍にですね」
「いて欲しかった」
こう言うのだった。
「実に優れた人材だからな」
「秘書としてですね」
「非常に優れている人物なので」
「だからですね」
「今日本にいるグループの秘書の中で」
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