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王道を走れば:幻想にて
第四章、その3の2:天運重なり
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「パウリナ、お前がまさか盗賊だとはな。全く分からなかったよ、見事な変装だ」
「いや、これただの好みの服で、特に関係はーーー」
「まぁまぁ安心しろ。今更どうこうする気は毛頭無い。何せ今は頼れる仲間の一人なのだからな」
「そ、そうなんですか。いやぁ、そう思っているんでしたら最初から私を連れてってくれるともっと助かるんですが」
「・・・」
「あ、す、すいませんっ、申し訳ないです!要らぬ言葉でした、取り消しますっ!!」
「うむ、そうだな。その方が良い」
『て、てめっ、俺のダチをよくもーーー』

 廊下の方から肉を断ち切る音と悲鳴が一つ聞こえて、賊の男が慌てた様子で部屋に雪崩れ込んできた。男は目を見開いて、迫り来る銀光に恐怖する。

「ひぃーーー」

 出かけた悲鳴がアリッサの剣閃により塞がれる。額をざっくりと裁断され、男は床に倒れ伏す。救援に来た兵の一人が部屋の中に顔を出す。 

「アリッサ殿、この階も制圧しましたっ!後は上だけです!!」
「よしっ、そのまま進めっ!決して油断するなよ!!」
「はっ!!」

 兵は勇みながら駆けて行く。彼はこの階も制圧したと言っていた。という事は、アリッサらはたった四人で賊の砦の一階と二階部分を制圧したのだろうか。
 パウリナが驚いていると、アリッサは今更ながら彼女の格好に気が付いた。

「・・・・・・そういえばお前、なんで壁を登っているんだ」
「え、えと、この真上が山賊の棟梁の部屋なんですけどね、その部屋にケイタクさんが無理やり閉じ込められてーーー」
「貴様らそこをどけぇぇっ!我が剣の錆となって死んでいけぇぇぇぇぇぇ!!」
「い、て・・・」

 突如として血に狂った猪となった近衛騎士の背中を見送りながら、パウリナは呆気に取られて口を開いたままにする。幾秒かの沈黙を二つの死体が見守ってくれた。

「さ、登ろっか」

 身体を持ち上げて足を窓に掛ける。パウリナは腰元から、先端にフックを取り付けたロープを取ると、器用にも不安定な態勢からくるくるとそれを回していく。そしてタイミングよくそれを上階へと投げると、軽い音を立ててフックが三階窓のとっかりに引っ掛かった。
 パウリナはロープを両手で握ると、窓を蹴りながら急いで上階へ登っていく。彼女が三階のとっかりに指を掛けると同時にフックが外れてしまうのは、一つの御愛嬌であった。

「いよっ、ケイタクさ・・・」

 窓から顔を覗かせて、パウリナは再び固まる。覗き込んだ部屋は棟梁の部屋であったが、そこに慧卓の姿は居らず、賊の一人が避難しているだけであった。

「あ、やばい」
「くっ、この糞アマぁっ!!」
「おわっ!?」

 賊が水差しを投げ飛ばしてくる。窓に当たりながら水差しが外界へと落ちていき、パウリナは片手
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